ロストウォーリア短編 6月の花嫁たち【ロゼ唯百合】 深い深い森奥の教会、そこに2人はいた。 純白のドレスを纏い、髪を華やかに整えられた花嫁たちの出で立ちは、童話の中のお姫様にも劣らないであろう。 「んー…これで晴れていたらなぁ」 「仕方ないよ、今は6月なんだから」 小雨に文句を言う女性―ローゼと、それをなだめる女性―唯凪。 どちらも女性であるが、式を挙げることができるのには理由がある。ここの教会では、最近になって同性婚も受けてくれるようになった。そのため、今こうして可憐な淑女―と呼ぶには若いが―は、ドレス姿で控え室にいるのだ。 「でも、こうして式だけでもできるなんて…嬉しいな」 笑顔を向ける唯凪に、照れ隠しのつもりかローゼはよろしくない質問をしてしまう。 「ひ、費用とかは自分で払ったんだろ?」 「そうだけどさ…ローゼちゃんのウェディングドレスが見られるだけで幸せ」 「えっ…!?あ、ありがとう…ユイナも似合ってる」 和やかに会話をしていると、もう会場の準備はできたようだ。若い女性スタッフが彼女らを呼びに来た。 「いよいよだね…」 「うん、そうだな…」 さあ、皆にこの姿と誓いを見てもらいに行こう。 [*前へ][次へ#] |