ロストウォーリア長編 蒼杏/友情 「ここで合ってるよな…」 俺、杏寧は駅前の銅像近くで立ち止まっていた。 名知市の中でも有数の待ち合わせスポット故に、人も多い。 だけど、あの人は俺を見つけてくれるって信じてる。 「こんな目立ちやすい格好だし…」 黒の癖毛に赤いメッシュという髪型を俺は続けてきた。そして、最近の流行りをおさえた服装にしてみた。 「早く来いよ…」 「お、お待たせ!」 濃い緑のジャケットを着た彼…蒼月が現れた。 「遅れてごめんね、杏寧さん…」 「呼び捨てで大丈夫だって…さ、早速店に行くか」 歩いて2,3分のところにあるお洒落なカフェに、俺たちは入った。 外観の割に意外と男性客も多いこの店は、カフェらしからぬ早さと美味さが人気なんだとか。 「そういえば、杏寧ってお子さんいるんだよね」 「そうだよ、でも蒼月もいるんでしょ、娘さん」 「そうなんだよね…それがなかなか俺になつかなくて」 他愛もない会話を楽しんでいると、すぐに料理は来て。それでも食べながら談笑する。 自分の子供の性格、自慢、どんな教育をしているか…。 お互いシングルファザーであるためか、意外と盛り上がった。 「それじゃ、そろそろ行かなきゃならないので…。またたくさん話そうな」 時計は2時を指している。時間通りに保育所に迎えにいくには、今ここを発たなければならない。 「そうだね、困ったことがあったら俺に連絡をくれ」 「はいはい。頼りにしてるよ、蒼月」 名残惜しい気もしたが、手早く会計をすまし店を出た。 [*前へ][次へ#] |