ロストウォーリア長編 蒼杏/告白2 「…ここ、だよ」 蒼月に連れられ着いたところは―誰もいない展望台。 辺りはすっかり暗くなっていて、星が綺麗に見えた。 「すげぇ…カップルまみれでもおかしくないくらいだ」 「ははっ、そうだな」 くだらない話をしながら笑い合う、それがとても幸せだった。 すると、突然蒼月の眼差しが変わる。 「実はさ…嫁に愛を誓ったのがここなんだ」 「えっ…?」 真面目な顔で話す蒼月に見とれてしまう。ダメだとわかっているのに、期待してしまう。 「最期の時に彼女が言った。次に愛する人ができたら、ここに連れてきて、って」 それって、まさか…。 「―お前が好きだ」 「え、お、俺も好…んっ!?」 返事を言い終わる前に、いきなり唇が触れる。涼しい外見に似合わず、それはとても甘いものだ。 しばしの沈黙ともどかしいような空気の中、蒼月は口を離した。 「…っ、はぁ…嬉しいよ」 言葉を聞いて、感動と恐怖の混じったような想いが込み上げてくる。自然と涙がこぼれてきた。 そんな俺の気持ちを察していたのか、蒼月は俺をしっかりと抱き締める。そして、囁くように耳元で言う。 「大丈夫、俺はお前を離さないから…」 情けない泣き顔を晒しているであろう俺に向かって、続けて言葉を紡ぐ蒼月。 「お前が果てるときは俺も一緒だ。先に逝ったりはしないさ…」 「本当だよね…?約束は…ちゃんと守れよ?」 自分も思うことを涙声で伝える。すると、蒼月も返事をくれる。 二人は、長い間抱擁を続けていた。 もしも運命の神様がいるのなら。 これからもずっと、二人を離さないでください…。 [*前へ][次へ#] |