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Marco×Ace
5
ドンチャンドンチャン
祭りのお囃子の音が聞こえる。
ドンチャンドンチャン
ドンチャンドンチャン
ドンチャンドン……
「あぁ、もう、うるさいよい!」
とうとう切れたマルコが叫ぶ。
その様子にエースは、宥めながら、尚も子供の親を探していた。
天下の白ひげ海賊団一番隊隊長にも嫌いなものはある。人混みの多いところと、エースとの時間に茶々を入れてくる者、だ。
マルコはイライラしていた。
いつまで経っても見つからない子供の親に、時間が経てば経つほど増えていく人。
どちらか一つでもなければまだ良かったのかもしれないが、残念ながら現在進行形でそれらはあった。
エースとケイと名乗った子供はとっくに仲良くなり、さっきから楽しそうにお喋りをしている。
マルコの存在など、まるで霞だった。
「なぁケイー。まだ見つからないか?」
エースが聞いた。
「ごめん、エースにいちゃん、見つからない…。あのっ、ぼく邪魔してるよね…もうだいじょうぶだよ。自分で探すから…」
しょぼん、としてそう言った子供にエースは、からからと笑って告げる。
「何言ってんだよ、邪魔じゃないに決まってるだろ?ほら、探そうぜ。…えっと、次はあっち言ってみるか?」
二人のやりとりを聞きながら、この分じゃ、まだまだ見つかりそうもないと冷静に予測を立てる。
普段は助かる冷静さも、こんなところで発揮されるのは嬉しくなかった。自分の能力を恨めしく思いながら、マルコは諦めると、渋々二人の後についていく。

それから、子供の親が見つかったのはしばらくしてからだった。
どうやら向こうも必死で探していたらしく、あちこちですれ違いになっていたらしい。
必死でお礼を言う親を放っておいて、子供は、一体エースが何を言ったのか、別れ際に小さくキスをした。ーー唇に。
肩車から降ろされて、エースに抱っこされた、そのままの体制で。
マルコの額にびきり、と青い筋が浮かんだ。
エースはといえば、そんなマルコの様子には微塵も気付かずに、あはは、と楽しそうに笑って、額に口付けている。
またなーと笑顔で手を振るエースにペコペコ頭を下げる光景を見送ると、マルコはがっちりエースの腕を掴んで人混みの少ないところへ歩いていった。

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あきゅろす。
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