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★ディノヒバ☆
素直になりたくて…
素直になりたくて…

窓の外から見えるのは相変わらずの、曇天とした空模様。
もう何日、真っ青な空を見て無いだろう…。
応接室は静まり返っていて、僕のペンを動かす音だけが響いてる。
鳴らない携帯電話がちらりと視界に移って、それから、どんよりとした空は窓に水滴を滴らせ始めた。
「ハァー…」
2週間以上、もう天気も太陽も見ていない。
溜め息が口を突いて出てくる。いない時だけはこんなに「寂しい」なんて…、気持ちだけが素直に顔を覗かせるのに…。
『どうして貴方だけがいないの…?』
理不尽な八つ当たりだって事も、子供の考え方だって言うのも分かってる。
それなのに「貴方がいない事」だけが、僕の心の中を引っ掻き回す様にして嵐の空模様、所により雷雨。
太陽みたいな貴方の声が聞きたいよ、抱き締めて欲しいよ…。本当は、素直になりたいんだよ。
窓に手を突いて空を見上げた。狭い箱庭からは、大空の貴方が恋しく見える。
貴方はそんな僕をわかってくれるかな?
「ディー、ノ…」
『会いたいよ…』

「うん…ちゃんとわかってる」『伝わってるよ、お前の気持ちが…痛いほどに流れ込んでくる』
背後から、華奢な恭弥をそっと抱き締める。
「ごめんな…寂しい思い、させちまったな…」
「ディーノ…」
素直になれるなら、素直になりたくて。
精一杯の力で貴方にしがみついた。
「おかえり…なさい」
「うん…只今」
『俺の可愛いファムファタール…』


END

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あきゅろす。
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