dust
たあ
彼女が僕を呼ぶ。
声は聞こえないけれど、彼女が僕の名を叫んだのが分かる。
僕は返事をした。
ぼくはここにいるよ
彼女が笑って何かを言うけれど僕たちは遠すぎて何も聞こえなかった。
おかしいな、ついさっきまであんなに近くにいたのに。
きこえないよ、と僕が言えば、彼女は困ったようにまた何かを言う。
僕は聞きたくて近付いた。
彼女がもう一度何かを言う。
僕は彼女が泣いているのが分かった。
どうしてなくの、
彼女は答えない。
きこえてないの?
彼女は答えない。
さっきなんていったの。
今にも触れられそうな距離で呟けば、彼女はぼんやりと僕を見た。
どうして、なくの?
彼女は涙で飾られた頬をゆるませる。
あなたがしんでしまったからよ
終焉
(嗚呼、だからこんなにも世界は美しい!)
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