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―――自分の中に眠る性癖に気づかされたのはあの日の朝方。

春の始め。まだまだ、日の出まではかかり人々も街も寝静まる時間帯。
だんだん暖かくなったといえどまだ肌寒く薄い春用の布団で寝ている岩井 絢(イワイ ジュン)は温もりも逃がさないようにと丸くなる姿勢で寝ていた。
窓際に置かれているベッドに自分以外の重さを感じ薄く目を開くと鍵を掛け損ねた窓から見ず知らずの男が入ってくるのが見えた。

「だっ…だ…れ…?」

こんな時間にしかも窓から入ってくるなんて金銭目的の泥棒だろうか。
恐怖と寝起きのせいでうまく声がでない。

「おっ…お金なら、…うちにはありま…せんよ…」

平均男性よりも小柄な絢は力では男に勝てないと思いとりあえず金銭目的ならないことを理由に帰ってもらうように言い放つ。
だが、男はそんな言葉も気にせず絢の部屋に入ると絢に目隠しをしついでに震える腕を一纏めにする。
口に手を添えられ寝巻きがわりのロンTを男の手で捲られたことにより初めて男が金銭目的でないことがわかった。
あまり筋肉もついていない貧弱な身体が男の目の前に曝される。
いくら身体が小さくても顔が女のような顔でも自分は男だ。
同性に犯されるなんて思うと恐怖より屈辱で涙が浮かぶ。
絢のことを女の子と思っていた男は「男かよ…」とつぶやく。

男で悪いか!
勝手に入ってきたくせに!
勝手に女だと思ってたくせに!
どんなにそういえたら言いか…
言うのは怖いがこうして組み敷かれるのも怖くて絢ははやくでてけとばかりに脚をばたつかせ上にいる男を退かせようとする。

「まぁ…男でもいっか」



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