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Lily
セフレ〜裕貴〜
「ってかさ、チョウとゆうちゃんって何組よ?」
みっちゃんの言葉を聞いて、俺達は顔を見合わせた。全員の顔を見ると、俺も含め、ゆうちゃんとチョウのクラスを知っている人はいないらしい。
俺達は校舎に向かう足を止めた。
「誰か聞いとけよ!」
「うるせぇな。お前も聞いてねぇじゃねぇか」
「俺はついこの前文化祭あるって聞いたんだよ!」
「言い訳すんな」
「まぁ、まぁ。探せばいいじゃん。1年っていうことはわかってんだから」
義文と正樹の言い争いを、俺が制する。
「出し物もわかってるし」
けいちゃんがさらりと言った。
「知ってるの!?」
「あぁ。聞いた」

あのゆうちゃんが教えるか?

「ってか、2人共喫茶店って言ってなかったっけ?」

あぁー。

遼ちゃんの言葉で思い出した。
「2人共が喫茶店ってわけではないけど」
けいちゃんが意味深なことを言った。
「どゆこと?」
「まず、ゆうちゃんは喫茶店じゃない。そして、チョウもまともな喫茶店じゃない」
「何するの?」
「チョウがメイド喫茶で、ゆうちゃんがホストクラブ」
またしても、けいちゃんはさらりと文弥の質問に答えた。
「メイド喫茶!?ホストクラブ!?」
全員が声を揃えて叫んだ。
そのため、ただでさえ注目度が高かったのに、一気に注目度を増した。
「ちょ、ちょ、ちょっと待て。おち、落ち着け」
「お前が落ち着け」
みっちゃんに正樹がつっこんだ。
「2人はその役をやるのか?受け付けとかじゃなくて」
「チョウはやるとは言わなかったけど、ゆうちゃんはやるってさ」
「ホストを?!」
「あぁ」
「あのゆうちゃんが?!」
「あぁ」
「絶対似合っちゃうんじゃね?」
「だろうな」
「ブッ!!あははっ!!」
散々けいちゃんを質問攻めにしといて、最終的にみっちゃんは爆笑し出した。
「ってか、よくゆうちゃんがホストなんかやる気になったよね」
ゆうちゃんの性格からすると、確実に断ると思う。
「あぁ、なんかチョウが頼んだんだってさ」
「チョウが?!」
俺達は見事にハモった。
「チョウがゆうちゃんに『ホストやって』って頼んだわけ…?」
遼ちゃんが繰り返して聞いた。
「あぁ。らしい。チョウが自分で言ってたし」
「あの藤澤佑介が…」

流石、チョウ…。

「ってか、じゃあ、ゆうちゃんはチョウのこと好きってこと?」
間抜けなこの発言をしたのは、正樹だった。俺達全員の視線が正樹に注目する。

こいつ、本気…?

「え…?何…?」
「お前…、本気で言ってんのか…?」
「お…、おぅ…」
正樹が後退りしながら、文弥の問いに答える。
「絶対、冗談じゃないよな…?」
「あぁ…」
「はあぁぁー」
正樹の答えを聞いて、俺達は大きなため息をついた。
「何だよ!?さっきから!!」
とうとう、正樹は怒鳴った。その様子を見て、けいちゃんが哀れむように言った。
「お前だけだよ。ゆうちゃんがチョウを好きだってこと知らなかったの」
「マジ!?」
「マジ、マジ」
「だって、あのゆうちゃんだぜ!?」
「だから何だよ」
「いや、何だってないけど…、ゆうちゃんって今まで好きな人いたことあんの?」
正樹は、ゆうちゃんとは小さい頃からの付き合いである俺とみっちゃんに聞いた。みっちゃんのほうを見ると、ちょうどみっちゃんも俺のほうを向いて、首を傾げた。

みっちゃんはよく『好きな子ができた!!』とか言ってきたけど、ゆうちゃんはなかったよな…。

「さぁ?俺が知る限りでは知らない」
「俺もー。あっ。でも、彼女はいたことあったよな。確か、年上。まぁ、ゆうちゃんがその人のことを好きかどうかが問題だけど」

あれ?
違くね?

「みっちゃん、違うよ」
「へ?」
「あの人は彼女じゃないよ」
「そうなの?じゃあ、どういう関係?」
「セフレ」
「セフレ!?」

だよな?

「確か…」
「そんな相手があいつにはいるのか!?」
「俺の記憶が正しければね」
「セフレ…」
みっちゃんが激しく落ち込んでいるのは何故だろうか?
「俺も欲しい…」

そっち!?

「おーい!!早くしろよ!!」
遠くから呼ばれる声がした。
周りを見たら、俺とみっちゃんしかいなく、みんなはもうだいぶ遠くにた。どうやら、置いて行かれたらしい。
「ほらみっちゃん、行くよ」
「羨ましい…」

……。

俺はこの人を置いて、みんなのもとへかけて行った。


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あきゅろす。
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