Lily 直線〜琉〜 さて、あの三角関係は今後どうなることか? 最近の俺は、この3人の様子を毎日の楽しみにしているのかもしれない。 しかし思ったが、これは三角というか一直線なのだろうか。深田さん別にどちらにも矢印は向いていない。 ただ、あの2人が深田さんのことで色々複雑なだけである。 それにしても。 佐藤は外見からして馬鹿そうだと思っていたが、ここまで馬鹿だとは思わなかった。 現在、佐藤はなんか味方を作っているみたいで、いろいろな人にこの前のことを話している。はたして、みんながどこまで信じるのかが気になる。 教室にいると、そんな佐藤のうるさい声が嫌でも耳に入ってくる。 「そしたら、佑介が『別に向こうだってお前なんかと友達になりたいなんて思ってねぇよ』って言ったんだよ!!」 あはは。 『佑介』とか呼び捨てにしてるし。 そういえば、佑介どこ行ったんだろ? 「それって絶対深田がそういうこと言ってたってことだよね?!超ムカつかない!?」 「そ…そうかなぁ…?」 佐藤から色々聞かされている子はみんな困っているのが目に見えてわかる。 迷惑なんだよなー。 うるさいし。 被害妄想激しいし。 「だから、今何か深田を陥れようと考えてるんだけど、何かいい方法ないかね?!学校に来させない勢いで何かやりたいよねぇ〜」 こいつは中学の時からこういうことをしていたのだろう。気に入らない子がいたら省くという、女子の典型的なのことを。 「なかなか…ないんじゃないの…?」 「そうなんだよねぇ〜。いい方法なかなか思いつかなくて。じゃぁ、なんかいい案考えられたら教えてね!!」 「う、うん…」 クラスの気が弱そうな女子達を味方にできたと思ったのか、佐藤は上機嫌で違うターゲットを見付けに行った。 佐藤から解放された子は、みんな安堵のため息をついている。佐藤に脅えて何も言えなかったのだろう。あの女子達は誰かが虐められていたとしても、火の粉が自分に飛んでくるのを恐れて、見て見ぬ振りをするタイプだと思う。 「ねぇ!!聞いてよ〜!!」 また、ターゲットを見付けたらしい。今度はクラスの男子だ。 あー。 佐藤、あいつ等は無駄だよー。 なんと、馬鹿な佐藤は深田さんと仲の良い不良達を次のターゲットにした。せめて、もっとちゃんと考えて味方を作って欲しい。全然味方ではないが、見ているこっちが恥ずかしくなってくる。 「ムカつくのはてめーだよ。何でチョウがそんなことてめーに言うんだよ」 話を無理やり聞かされた不良の一人が言った。一方的なチョウの愚痴を聞かされて怒っているみたいだ。 俺もそう思う。 「それは、私の事が嫌いだからでしょ?」 「何でお前のこと嫌いになるんだよ。チョウはお前と違って人を嫌うなんてことしねーよ。お前みたいに馬鹿じゃねーんだから」 別の不良が言った。 「そーゆー言い方はないんじゃないのー?」 佐藤の数少ない友達が言ってきた。 「何で言ってないってわからないのに、そんなこと言えるの?」 「ばぁか。その言葉そっくりそのまま返す。何でチョウがそんなこと言ったかわからないのに、そんな言ったと思い込んでるんだよ」 まさしくその通りだな。 名前は知らないが、あの不良は馬鹿ではなさそうだ。 「それは藤澤君が言ってたからって言ったでしょ!!話聞いてた?!」 佐藤の友達が言った。 いやいや。 言ってないから。 お前等も佑介の話聞いてろ。 「はいはい、聞いてた聞いてた。大変だねぇー」 とうとう、こいつらの相手するのが時間の無駄だとわかったらしい。適当に流している。 「もう!!いいよ!!」 佐藤達は怒ってまた次のターゲットを見付けに行った。 そして俺はさっきの不良達のところに歩み寄る。頭が良いみたいなので、友達になっておくことにする。 「佐藤に絡まれてたみたいだなー」 俺はニヤけながら不良達に言った。 「あぁ。ってか、あいつ佐藤っていうんだ」 不良の一人が言った。 知らなかったのかよ。 しかし、俺もこいつ等の名前を知らないので、後で覚えようと思う。 「琉って佑介がチョウと一緒にいる時、一緒にいるよな?本当にチョウがそんなこと言ったのか?」 !! なんと、こいつ等は俺の名前を知っていた。佑介の名前も。いや、佑介の名前を知っているのはわかるが。 「まさか。ただ佑介が思ってること言っただけだよ。だけど、あの女馬鹿だから深田さんが言ったと思い込んだみたいだな」 「そんなことだろうと思った。あのチョウがそんなこと言うわけないよな。ってか、絶対あいつの存在知らねぇよ」 と、不良は笑いながら言った。 「俺もそう思う」 心の底から、俺もそう思っていた。 馬鹿にするつもりはないが、深田さんは興味のない人の名前と顔は一々覚えないタイプだと思う。彼女、そこらへんは、俺と同じ匂いがする。 [*前へ][次へ#] [戻る] |