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Lily
Queer〜充〜
ポッキーゲームをすると決めて浮かれている時。
「充ー。この前借りてた漫画なんだけどー…」
そう言いながらドアを開けたのは、従兄弟の涼兄だった。
「って、友達来てたのか。悪い」
部屋にいるみんなを見て、ドアを閉めようとする。
だけど、チョウの言葉で涼兄は動きを止めた。
「うわー。Queerだ」
「俺のこと知ってんの?」
「はい。この前ライブ行かせてもらいました」
「よくチケット取れたね」
俺は感心した。

涼兄のバンドのライブチケットなんか本当取るの難しいのに。

「まぁ、兄に連れられて行ったんだけどね。担当ギターですよね?」
「そうそう。へぇー。結構冬夜しか見てない客多いのに、よく見てるね」
「‘冬夜’…?」
「あぁ、ギタボの奴。黄色い声も冬夜が一番凄かったでしょ?」
「あぁー。あっ!ってか、この前すみません!!」
「え?何が?」
「その…冬夜さん?がMCしてる時に空気悪くして」
チョウのその言葉に、涼兄の眼が大きくなる。
「もしかして…、MCの時に『黙れ』って言ったの君?」
「あっ、はい。あの時は本当、すみません」

『黙れ』ってMCの時に言った!?
流石チョウ。
すごい勇気あるな。

「いやいや、俺達みんな感動してたから。ありがとう」
「そんな感謝されることしてませんよ!その場にいたお客さん達を不快にさせてしまいましたし」
「気にするなって。寧ろ誇りに思えって。じゃあ、俺はお邪魔にならないように行くわ。またライブ来てね」
「はい。ありがとうございます」
涼兄はチョウの言葉を聞くと、ヒラヒラと手を振って出て行った。
「何だあの人!!超格好良いじゃん!!」
と義文は叫ぶ。
「まぁ、俺の従兄弟だし?」
「従兄弟?!それじゃあ、少しでもみっちゃんと同じ血が流れてるわけ?!」
義文の言いたいことが何となくわかってきた。
「うるせぇな。そうだよ」
「ありえねー!!」
「うっせ」
すると、俺の携帯が鳴った。
「メールだ」
みんなは俺のほうを一瞬見たが、興味なさそうに話し始めた。
《さっきの子の名前は?》
メールの送り主は涼兄だった。

…名前?

《何で?》
《気になるから。可愛いじゃん》

これは…本気?

《やだよ》
《あはは!お前あの子のこと好きなんか!!》

騙された…。

《そうだよ》
《あはは!安心しろよ。俺は狙わないから。ってか、あの子彼氏いないのか?》
考えすぎかもしれないが、『俺は』という言葉が気になった。
《らしいね》
《ほぉー。意外。まぁ、いいや。名前教えろよ。俺達みんなMCの時の子が気になってたんだから。誰かわかったんなら、みんなに教えてあげなきゃ可哀相だろ》

…まぁ、いっか。

《深田 楪》
《楪?変わった名前だな。サンキュー》
涼兄とのメールは、そのメールを最後に終わった。


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