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Lily
姉〜琉〜
あーぁ。

今日は佑介が来なかったから、つまらなかった。俺にとって、佑介が結構大事なポジションにいることを知らされた、貴重な1日だった。
今日の部活は面倒くさいのでサボろうと思う。そんな俺は階段に向かった。

あれ?

あの後ろ姿は深田さんだと思う。あのスタイルの良さは、間違えるはずがない。
「帰るの?」
俺が後から話しかけると、深田さんは振り返った。
「あっ。平塚君だ。うん。今帰るところ」
「じゃぁ、一緒に帰らない?俺駅通るし」
我ながら、自分結構ストレートだと感心する。
「あー…。ごめん。今日遅刻しそうになったから、バスで来たんだよね…」
「あぁ…。なるほど…」

ショック…。
あっ。
そうだ。

「じゃぁ、ケツ乗る?送るよ」
ナイスアイディアではないか。
「マジ?やった」
深田さんはそう言って、俺を見てニヤッとした。その顔が本当に可愛かった。
その後、俺達は駐輪場に向かうため、歩きだした。
視線が痛かった。同学年からも、先輩からも。不良達からの視線なんて、本気で怖かった。
いつもこんな視線を浴びせられ、それでも気にせず深田さんの隣を平気で歩く佑介に、関心する。そんな俺は、今から深田さんと2人乗りをしようとしているのだが。
玄関を出た時、深田さんの携帯が鳴った。
「あれ?お姉様からだ。もしもし?」

『お姉様』って…。

呼び方に心の中でツッコミを入れつつ、俺は聞いていないふりをしながら、盗み聞きした。
「終わったよ。うん。今玄関。え?本当?何で知ってんの?あー。なるほど。わかった」
深田さんはそう言って電話を切った。
「ごめん!!お姉様が迎えに来てくれているらしいです!ってことで、送ってもらいたかったけど、平塚君のためにもあたしはお姉様の車で帰りたいと思います!ごめん…」
「いやいや、謝ることないでしょ」

結構ショックだけど。

「でも、ありがとう。また今度よろしく」
深田さんは笑顔でそう言った。
「もちろん」
自分でもびっくりするほど、俺は笑顔だった。
「あっ。本当に来てる」
駐車場に来ると、停まっている車を見て、深田さんが言った。
「んじゃ、じゃぁね」
「あぁ、また明日」
俺の返事を聞くと、深田さんは車に向かって行った。
運転席に乗っていた人はすごい美人だった。

やっぱり遺伝か…。
ってか、深田さんのお姉さんを見たっていうのは、佑介に自慢できる要素だ。



*電話の内容*
ゆ⇒楪 よ⇒よう
ゆ:もしもし?
よ:もしもし?学校終わった?
ゆ:終わったよ。
よ:今もう帰る?
ゆ:うん。今玄関。
よ:迎えに来たんだけど。今日バスでしょ?
ゆ:え?本当?何で知ってんの?
よ:お母さんに聞いた。だから、早く来て。
ゆ:あー。なるほど。わかった


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