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Lily
ホラー映画〜充〜
あの後、なんとなくみんなテンションが下がったので、帰ることにした。
チョウの人脈にも驚いたし、北斗さんのチョウに対しての想いも驚いたし、圭ちゃんの行動にも驚いた。まぁ、北斗さんに負けないくらい俺もチョウのことを想っているつもりだが。
「花火余っちゃったね」
チョウが残った花火を覗きながら、寂しそうに言った。
「また今度やろうぜ。次集まった時とか」
正樹がチョウの頭をポンポンしながら言った。

!!

「なっ…
「これ以上面倒起こすな」
『何チョウに触ってんだよ』って言おうとしたら、ゆうちゃんに制された。

むぅ…。

「うん、そうだね」
チョウは正樹に笑顔で返した。
「DVD借りて帰ろうぜー」
「いいねー」
遼ちゃんの提案に、みんなが賛成した。
それぞれ適当に荷物を持ち、レンタルショップに向かった。


「何借りる?」
「アクションとか?」
「夏だし、やっぱりホラーじゃね?」
「サスペンスも涼しくなりそう」
「コメディはー?」
予想はしていたが、それぞれ好き勝手喋るから決まらない。
「チョウは何が好き?」
「私が好きなのはサイコサスペンスだけど…」

まさかのサイコサスペンス…。

チョウの新しい一面を知ったのだが、まさかのジャンルで、嬉しいのか悲しいのかわからない複雑な気持ちになった。
「何でも良いよ。基本的に映画好きだし」
「『何でも良い』ねぇー…」

一番困るんだよなー…。

「あっ、でもホラーは苦手」
「そうなの?」
「うん。日本のホラーは見てる時は平気なんだけど、後に引きずる」
「ふーん。なるほど」

じゃあ、ホラーはダメか。

見てる時が怖いというなら、怖がるチョウを慰めるって手を使えるが、後で俺がいなくなってから怖くなられたら意味がない。
「AVにしようぜー」
正樹が18歳未満立ち入り禁止のスペースから、出てきた。手には何枚か持っている。
「お前、常識的に考えろよ」
圭ちゃんが呆れながら言った。
「早く戻してこい」
「何だよ、お前等!どうせ見たいくせに!」
「そりゃ見たいけど、タイミングが悪い」
チョウがいる前で、こいつは何を言っているんだか。流石に俺でもそんなことしようとは思わない。チョウのことをなんとも思っていない正樹だからこそできることなのだろうが。
「普通にアクションでいいんじゃね?」
そう言う文弥の手にも、何枚かDVDがある。
「あっ、アドレナリン!あたし、アドレナリン見たことないから、見たい」
チョウが文弥の持っているDVDを見て言った。
「はい、アドレナリン決定」
ゆうちゃんが、文弥の手からアドレナリンのDVDを取った。
「あともう一枚くらい借りとけば?みっちゃん決めていいよ」
「お、おう」
何で俺が選ばれたのかわからないが、選ぼうと思う。

どうしよっかなー。

『決めていい』といざ言われると困る。チョウはサイコサスペンスが好きらしいが、正直俺はサイコ系は好きじゃない。

あっ。

「サイレント・ヒルは?」
「ホラーじゃん」
「あたしサイレント・ヒルのゲームは好きだよ。映画ちょっと気になってた」
「はい、決定。借りてくるわ」
「お願いしやっす」
借りるのをゆうちゃんに任せ、俺達は出口に向かった。
「気になってはいたけど、サイレント・ヒル怖い?」
「んー、バイオハザードみたいな感じ」
「本当?」
「うん、でもバイオハザードよりグロくはないけど、バイオハザードよりホラー寄り」
「バイオハザードは好きだから平気かな。見てみたいけど、怖そうだから1人では見たくなかったんだよね」

可愛いなー。

こういうギャップがチョウの可愛いところだと思う。
「俺がい…
「大丈夫だよ、多分このメンバーだと怖い映画も雰囲気崩れて怖くなくなるから。はい」
ゆうちゃんが俺の言葉を遮って、後ろから借りてきたDVDを渡してきた。

チクショウ。

「あはは、確かに」
「部屋暗くして見ようぜ」
「いいね、映画館っぽい」
「よーし、じゃあ誰が早く着くか俺んちまで競争しようぜ!」
「えぇー」
「ダルい」
「一人でやれよ」
俺の提案に、全員がブーイングした。
「何だよ、お前等!」
「位置について…」
後ろからチョウの声がすると、俺達は顔を見合わせた。
「よーい、ドンッ」
チョウのそんな声と共に、俺達は一斉に駆け出した。


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