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Lily
手助け〜魁〜
文化祭が終わり、学校も全体的に落ち着いてきた。
後夜祭でゆうちゃんが告白しなかったのが、本当に悔やまれるのだけれど。


「何でゆうちゃんあの時告白しなかったんかねー?」
「なぁ。せっかくチャンスだったのに」

え?

「琉ちゃん」
「ん?」
「チョウのこと諦めたの?」
「あぁ」
「ふーん」

……。

「そうなの?!」
「うるさい。俺はもういいの」
もしかしてって思って冗談で聞いたのだが、当たっていたらしい。
「本当にもういいの?」
「いいよ。俺がどう頑張っても佑介には勝てないんだよ」
「そんなこと…」
「文化祭で全校も認めたじゃん」
「まぁ…、ね」
そんなことを言う琉ちゃんの目は、考えるのが面倒臭いと言っている。
「俺なんかより佑介のほうが深田さんにはお似合いだし、俺は佑介のおこぼれにあずかったようなもんだし」
「うーん…」

確かに。

そんなことを自分で言われたら、フォローのしようがない。
「それにもしかしたら、俺の深田さんへの気持ちは‘好き’じゃなかったかもしれない」
「え、そうなの?」
「芸能人を好きみたいな」
「あー。俺もチョウへの気持ちはそんな感じだけど…」

琉ちゃんは本気で好きだったと思うけどなぁ…。

「とりあえず」
「うん?」
「佑介には、絶対に深田さんを手に入れて欲しい」
「う、うん…」
「佑介のためだったら俺協力するし」
「そっか…」
「魁もだろ?」
「もちろん」

……。

「琉ちゃんの次の恋は?」
「俺?俺は当分いいよ」
「あ、そう…」

やっぱり。

その時、遅刻していたゆうちゃんが教室に入ってきた。
「おはよー」
「はよ」
「おー」
「俺達、お前を助けるよ」
「は?」
琉ちゃんのいきなりの発言を、ゆうちゃんは全く理解できていない。

まぁ、いきなりあんなこと言われてもね。

「だから、お前をバックアップするんだよ」
「ん?あぁ、今度のテスト?」
俺と琉ちゃんは顔を見合わせた。

ゆうちゃんは天然入ってるの?
それとも、こういう場合は本当にわからないのかな?

「そうそう、テスト。次も上位狙って、貯金作っとけ」
「あー、なるほど」

テストの話にしちゃった!

「佑介なら半分以上いけるでしょ。なぁ?魁」
「う、うん」
なんかよくわからないが、多分これでいいのだろう。

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