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優しい運命のお話
☆夢は繰り返す☆

〜〜〜〜

【ポクポクポク………】

お経が響く………

僕の目の前には、笑っているユウの写真と、中の見えない棺桶
配偶者(夫)が座る場所にはシンが座っている………

(…そこは僕が座るべき場所なんじゃないか……?)

いや、そんな事を言っている場合ではない

姉さんや母さん、フィリアもウッドロウも……皆泣いていて……
そのうち、スタンが僕に近づいて来て

「辛いけど、リオンもお別れしてやらないと……」

涙混じりにそう言った

(嫌だ……)

見たくないのに、行きたくないのに
足は動く

(…嫌だ………)

ついに棺桶の前に来た…

(…いや…だ……)

恐る恐る中を見る……
そこには―――…


大好きなユウがいた


〜〜〜〜

「嫌だぁぁぁぁぁっ!」
《こんな展開、前にもありましたね》

いまいち心配さの足りないシャルには応えず
上体を起こした

「はぁっ……はぁ……」

僕はゆっくり周りを見渡した

「夢……か…」

…さっきの声に驚いて、もうすぐユウがくるはずだ

………

……



「……こ…ない…?」

そんなわけない…ユウがいればすぐにでも僕の所にくるはずだ……

僕は隣にあるユウの部屋へ行こうと…ベッドを降りた…

「!?」

その時、ふと自分の服を見ると着慣れた青の制服ではなく
黒いスーツを着ていた…

嫌な汗が、顔を伝っていく

「…くっ、ユウ!」

バタバタと自室を後にして
僕は乱暴にユウの部屋の扉を開けるが…

そこには、ユウどころかユウの家具さえなくなっていた……

「…ユウ………」

底無しの絶望が…僕を襲う

「ユウ…ユウっ………」

涙がとめどなく流れる……

「………ユウ……」

何度もユウの名前を呼ぶ…

「…ユウ………」

何度目かの呼び掛けに
誰かが応えた

「リオン?…何でそんなところにいるの?」

…この声は………

振り返ったら
ユウがいた…

「!?…何で泣いてんの!?」

そう言って駆け寄ってくる

「…お前…生きて……」

泣いててもいい……ユウになら泣き顔を見られてもいい……
ユウはからかわないで、心から心配してくれるから…

「?…私は生きてるよ?」

僕の顔を覗き込んで、ハンカチで涙を拭いて言う……

「…僕……は…お前が死んでしまう夢を見たんだ」

僕がそう言うと、ユウは笑った

「…僕は、ホントに怖かったんだぞ!?」
「ふふっ…分かってるよ…
だって、それってさ……」

ユウは柔らかい笑みを浮かべて

「私を(マリアンの方が大切なんだろうけど)大切に思ってくれてるって事でしょ?」
「っ………」

自分の顔が段々と赤くなっていくのが分かる

「(たとえマリアンが1番でも…)それだけでも私は嬉しいよ」

優しく微笑むユウ

「…なら……僕の傍にいろ……
絶対、僕から離れるな……僕に黙って、いなくなるな……」
「(前にも同じような事があった気が……)分かってるよ…だって私は、あなたの……」

少し間を溜めて…

「パートナーだから」

満面の笑みで、ユウは言った…

《2人とも…お互いを想いあってるのに、どうしてすれ違うんでしょうか?
多分、どっちも言葉足らずだからなんでしょうね…》


‐完‐

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