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優しい運命のお話
☆おばさんとメイドの情報収集力は怖い☆

とある日の昼下がり

【コンコン】
「父さん、話ってなんだい?」

僕はヒューゴ様…もとい、父さんに呼ばれた

「ああ…エミリオ、待っていたぞ」
「…どうしたの?…」

そう聞くと、少し間を溜めてこう言った……

「その…エミリオに折り入って頼みがあるんだが…」
「…別にいいけど…何?」
「カルバレイスの神殿に行って、グレバムという男から物を貰ってくるのだが…
その……母さんには見つからないように私に届けてくれないか?」
「…まぁ、別にいいけど」
「すまないな…」
「……なら、僕も一つ…」
「ん?…ああ、報酬はいつものでいいんだな?」

僕は頷いた

「では、頼んだぞ…」

僕は父さんの部屋を後にした………腹黒メイドが見ているとも知らずに……


〜キッチン〜

「あら?クリス様…どうかしましたか?」

こんにちは、私は『腹黒メイド』こと、マリアンと申します

「あっ、マリアン……
エミリオを見なかった?頼みたい事があったのだけれど……」

この方は、私がお仕えしているクリス様(腹黒同盟を組んでいるんです)
ちなみに、エミリオっていうのは私の可愛いユウに手を出しているチビ…じゃなかった

クリス様とヒューゴ様のご嫡男
リオン・マグナス様の本名なの

えっと……クリス様は私と瓜二つで、初めて会った時はびっくりしたわ…

「いえ…見ていませんね……あの、頼み事とはなんなんですか?」
「ええ…ちょっと、カルバレイスのグレバムという男まで荷物をとりに行ってほしかったのだけど…いないのなら、諦めて他の人に頼むわ……」

そんな話をしていたら…

「マリアン、リオン知らな……って、クリス様…いらっしゃってたんですね」
「ふふっ、ごきげんよう」
「ユウ、そんなのはどうでもいいから…クリス様の頼みを聞いてあげてくれないかしら?」
「頼み…ですか?」

首をかしげてきょとんとしてる姿!
あぁもう可愛らしいんだから!!

「…ええ、カルバレイスのグレ…(以下略)」
「いいですよ……じゃあ、さっそく今から出ますね」
「ごめんなさいね〜、こんな事を頼んでしまって」
「いえいえ、いつでも気軽にどうぞ〜
では、私はこれで」
「「行ってらっしゃい」」

クリス様からの用事を受け、てててっ…と駆けていくユウ
やっぱりユウは可愛いわ……


…時は経って


〜カルバレイス〜

「何故ユウがいるんだ……」
「何故って…リオンこそ…」

グレバムさんの部屋へ通されて、対面したユウとリオンは驚いた

「ハッハッハッ、君たちが取りに来たのはこれだろう?……さあ、もって行きなさい」

ある不祥事が原因で、カルバレイスの神殿へと飛ばされたグレバムさんに暖かく迎えられた2人

(父さんの頼みどうり、物は貰ったが……
あいつが来ているとは…
…まっ、まさか、『リオンと離れたくない』とかで…いや、無いな…だが――…)

と考えこむリオン

一方ユウは…

(わ〜っ、リオンも来てたなんて…
まさか、これって運命?
…いや、それより荷物を届けないと…

〜〜〜〜

「ユウ、いいこと?
あの人(ヒューゴ)には見つからないように私まで持って来てね………」

〜〜〜〜

…クリス様の後ろに、黒いモヤモヤみたいなのが見えたけど…気のせいよね)

クリスの頼みを聞いた時の事を思い出していた…

「おい…ユウっ!…聞いているのか?…」
「えっ!?何!?」
「はぁ……お前もダリルシェイドに帰るんだろう?
だったら、僕も一緒に帰ってやると言ったんだ」
「ホントに?……ありがとう、リオン!」

満面の笑みでリオンに応える

こうかはばつぐんだ!

「だ、だいたいどうしてユウ一人で来たんだ!
……お前、接近戦はたいしてできないのに…」
「うっ…
私だってリオンがいたらリオンを誘ってたよ!
だけど、いなかったからシンを連れて行こうと思ったんだけど………」
「シンを?」
「うん、ああ見えて戦闘慣れしてるんだよ」
「……ここには、居ないみたいだが?」
「…連れて行こうと思ったら、マリアンが『シンには他に頼みたい事がある』からって言って……」
「……そうか…」

そんな会話をしながら……あっという間に時は過ぎて


〜ヒューゴ邸・玄関〜

「じゃ、私はクリス様の所へ行くから」
「ああ………ユウ…」
「ん?どうしたの?」
「次に何か頼まれたら、僕も連れて行け」

長い前髪に表情を隠して
心配する気持ちを伝えようとするリオン

「―――ん、そうするよ
でもさ…リオンがいなかったらどうするの?」
「僕を待ってろ…」
「(上から目線なんだね)ふふっ……分かったよ」
「ふん……じゃあ、僕もヒューゴ様の所へ行くから……
また後で…」
「うん、また後でね!」

玄関で、2人はそれぞれの依頼主の所へと足を進めた


〜ヒューゴの部屋の前〜

「ふう……(それにしても、何が入っていたんだろうか)」

ヒューゴが頼んだものが気になる様子…

「リオン様」
「…マリアン?どうしたんだ、こんな所で…」
「……ユウとの旅、いかがでしたか?」
「………まさか……」

たらり…と冷や汗がリオンの頬をつたう

「…何かおかしいと思ったら、マリアンが絡んでいたのか……」

どうやら、マリアンが何か仕組んだよう……


「はい…ヒューゴ様とクリス様に『たまには、お互いにプレゼントの送りあいでもしてみてはいかがですか?』と……
結婚記念日も近いですし」
「それで、なんで僕とユウなんだ!」
「あら、じゃあ、ユウとシンを別々に行かせて、仲良く帰ってくるように仕組めばよかったのかしら?(黒笑」
「それはダメだ!
ダメだが……」

黒い笑みを浮かべる彼女に
弱みを握られているリオンは勝てる訳もなく…

「……正直、私はがっかりしているのよ…
……意気地なしのエミリオに」
「うっ……」

「悔しかったら『好きだ!』の一言ぐらい、ユウに言ってあげなさい
…それと、この報酬は私がもらっておくわね
私のおかげでもあるんだから(黒笑」
「あ…あぁ……」
【ツカツカ】

マリアンは食堂へ戻っていった……

(……マリアンは…
なにもかも知っているんだな……あまり怒らせないようにしよう…)

…それから数日間、マリアンに頭が上がらなくなったリオンだった…


〜後日〜

「ユウ…僕は………っ―――(ユウが)好きだ!…」
「(…好きだって…何が?………あ、あれか…)
うん!…私も好きだよ……美味しいよね、プリン♪」
「……あ…ああ、そうだな」

精一杯の告白も不発に終わったリオンの思いは、いつユウに届くのでしょうか?


‐完‐

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