君僕。
ふたりの午後(悠祐…?)
「好き、です」
「……ん?」
いつもの休日。外に遊びに行くのは億劫で、俺はソファーに座って本を読んでいる悠太の脚の間に座ってゲームをしていた。
テレビから流れるゲームの効果音と、悠太が本を捲る音が、二人しかいない部屋に時折響いた。
「何それ。本の台詞?」
突然の、「好き、です」発言。
誰が、誰に向けて?
「……」
パタン、と静かに本が閉じられた。
と思ったら、髪を一房持ち上げられて。
「…伸びたね」
「……うん」
優しい手つきで髪を梳かれる。
悠太に頭を撫でられたり髪を梳かれたりするのは気持ちいいから好きだった。
俺はカチカチとコントローラーを弄って画面をポーズ画面にすると、ソファーにくて、と凭れ掛かった。
「気持ちいいの?」
「…ぅん」
というより眠かった。
悠太の手つきと、声が、ほわりほわりと脳を融かしていく。
「…祐希、好きだよ」
「んー?…俺も、」
「……祐希くん。お兄ちゃんはね、ライクじゃない方の好きなんですよ」
「んー…ん?」
とろとろと微睡んでいた瞼を開けて、悠太を見上げる。
…あ。ちょっと、反則ってやつじゃないでしょうか。その、眼は。
じっとこちらを見る悠太の眼は、見たことないくらい真剣で、真っ直ぐ。
「ラブ?」
「ラブだね」
「そっかぁ」
「そうです」
あー、これってとっても背徳的ってやつ?
「どうするよ」
「取り敢えず、キス、してもいいですか」
「…アタシの唇は高いわよ?」
「今度アニメージャ買ってあげる」
「いいよ」
まぁ、もともと悠太だったら良いわけですけど。…ん?
「祐希…目瞑ってよ」
「ん」
言われて瞼を閉じる。落ちた影が濃くなるのが判った。
唇に触れるやわらかな感触。
少し触れて、すぐに離れていった。
「……もう終わり?」
「うん」
「つまんない」
そう言うと、悠太は俺の前髪を掻き上げて、現れた額にちゅ、とキスをした。
「どうですか」
「どう…と言われましても」
何なんですか。
「祐希」
あ、またその眼ですか。
だから反則だって言ってるじゃないですか。(実際には思うだけで音にはしていないけれど)
「悠太」
もっともっと。
お姫様は大人なのをご所望ですよ。
「悠太、」
あー、何かすごい好きよ?
勿論ライクじゃなくてラブの方。
お兄ちゃんお兄ちゃん。
暫し背徳的な時間を楽しみましょ?
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お題配布元nirvana
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