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honestly

…ごめんなさい。
またひとつ、貴女を困らせてしまった。




「ロビン、好きだよ」
「あら、ありがとう」
「ん」


これが毎日の私たちの会話。


彼女は私を好きだという。


彼女の"好き"は恋愛感情の意味で言っているということを、私は知っている。


けれど私はわからないふりをして、ただ微笑み返すだけ。
その態度がどれだけ彼女を傷つけているかわかっているのに。




…ごめんなさい。
また今日も正直になれなくて。


本当は嬉しくて、嬉しくて堪らないの。



そんな哀しそうに、私を見つめないで。




だって私も。

切ないくらい貴女が好きだから。



でも臆病な私は。

ただ、それを言葉に出来ない。






「ロビンはあたしの事好き?」
「…えぇ、好きよ。妹みたいで可愛いわ」


そう言うと彼女は妹かぁ…、と寂しそうな笑顔を見せた。
胸の奥がズキンと痛む。




…ごめんなさい。
またひとつ、貴女に嘘をつきました。



妹なんかじゃない。
私も貴女の事が………



「航海士さん、私…」


はっと我に返り、言いかけた言葉を必死に飲み込む。
彼女はなに?と首を傾げたが、なんでもないと返した。


何故言えないのだろう。

心の中では伝えたくてしょうがないのに。

本当は苦しくて、苦しくて堪らないのに。






このクルーに、彼女に会うまで。


いつも孤独だった日々。

涙もいつの間にか忘れていて。

信じることもためらい続けていた。



心に残っている傷跡が、彼女を拒んでいる。

もう傷つきたくないから。




それでも。

彼女の真っ直ぐな瞳、優しい声、無邪気な笑顔を見る度。

いま、私の心は揺れている。



「ロビン、好きだよ」
「…えぇ、ありがとう」


…ごめんなさい。
またひとつ、貴女のことを困らせて。

本当は嬉しくて、嬉しくて泣けちゃうくらいに。



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久しぶりに企画お題をUP!
放置しててすみません…orz

この曲は今まで両想い設定で聴いていたんですが、小説で書いてみたら片想いの方がしっくりくるという事に気付きました。
misonoちゃんのいつもとは違う切ない声が好きです。

2010.09.08



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