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絵本と嫉妬と特等席

今日の天気は快晴。
ぽかぽかしていて、とても気持ちいい。

私は外でいつもどおり本を読んでいた。



「なぁなぁロビンー」

名前を呼ばれて本から顔をあげると、数冊の本を持ったチョッパーがいて。



「どうしたの?チョッパー」
「これ読んでほしいんだ!」

そう言って私に見せてきたのは、絵本。
図書室で探し物をしていたら、たまたま見つけたらしい。


「いいか?」
「えぇ、もちろん。私でよければ」
「ありがとう!」

チョッパーは可愛らしい顔で笑う。
あらあら、可愛いわ。


彼は体が小さいので、私の膝の上に乗せてあげる。
私は一冊を手に取り、ページをめくり読みはじめた。


少女が不思議の国へ行く話。
赤い靴をはいた女の子の話。
毒林檎を食べてしまう姫の話。


他にも沢山読んであげた。
幼い頃に読んだ話も中にはあって。
世の中にはいろんなお話があるのね。


目をキラキラ輝かせながら聞いてる彼の姿は、まるで普通の子供のようで。
自分に子供が出来たような感覚で楽しかった。



「…おしまい。あら、もうこんな時間なのね」


空を見ると青から綺麗な橙に変わっていた。
楽しくて全然気づかなかったわ。


「今日はありがとな、ロビン!」
「こちらこそ、楽しかったわ」


にこりと微笑む。
チョッパーもエッエッエッと笑って、絵本を持って自分の部屋に戻っていった。

私もそろそろ戻らなくちゃ。





部屋に戻ると不機嫌顔なナミちゃん。
今日あまり構ってあげられなかったからかしら。


「ナミちゃん?」
「………」

近づいて名前を呼んでみても、そっぽ向かれて返答なし。
私の頭にはさらに?が浮かぶ。


「ナミちゃん?何か言ってくれないとわからないわ」
「………」
「ナミ」
「ロビン、座って」
「え?」
「いいからっ」

訳がわからないまま、とりあえず言われた通りベッドの上に座った。
ナミちゃんは何も言わず、私の膝上にどかっと座る。

重い訳じゃないけれど、静かに座ってくれないと痛いわ。


「どうしたの?」
「…ここはあたし専用なの」


あぁ、そういうこと。
理由がわかった瞬間、愛しさが込み上げてきて。
後ろから彼女の腰に腕を回した。
ナミちゃんは体重をかけないように、少しだけ私にもたれ掛かる。


彼女の耳元で
「嫉妬してくれたの?」
と囁くと彼女はまただんまり。


でも、後ろからでも黙っててもわかるわ。
耳まで真っ赤にしてるんだもの。



笑ってる貴女も。
怒ってる貴女も。
照れている貴女も。

世界で一番可愛くて、愛しいわ。

甘いのもいいけれど。
ちょっとしたスパイスも時には必要。
その後はまた甘いので口直しをしましょう。



「絵本、読んであげましょうか?」
「子供じゃないわよ!」
「ふふ、ごめんなさい」
「・・・ばか」




**********
六月の拍手お礼小説です。
チョッパーに嫉妬しているナミちゃんが書きたかったんです。
教育テレビのお姉さん的なロビン(笑)

2010.06.03



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