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サラリと言わないで欲しい


夜、私たちは一つのベッドで寄り添いながら寝る。
今日はまだ眠くないからナミと小さな声でお話し中。

もう付き合って随分経つというのに、彼女が近くにいるだけでドキドキしてしまうのは今も変わらない。
それが嬉しいのだけれど。


夜中なのに太陽の様に眩しい笑顔。
子猫の様にすり寄ってくる時に感じる温もり。
全部全部、私だけのものだという事が、すごく愛おしい。


「ナミ」
「なに?」

堪らなくなって名前を呼んだら、可愛い声で返事をしてくれる。
ただそれだけなのに、更に愛しさが募って彼女の小さな頭を撫でた。

指を髪に通して梳くと、さらさらと落ちる感触が気持ちいい。


「ナミ、愛してるわ」
「…っ!」

頭を撫でながら愛の言葉を囁くと、急に黙ってくるっと背中を向けてしまった。

私は上半身だけ起こして、彼女の顔を覗きこもうとするけど、部屋が暗いのと俯いていて全然見えない。


「どうしたの?」
「………」
「ナミ?」
「そんなに、さらっと言わないでよ」
「え……」


私は一瞬耳を疑った。


愛してるという言葉が、そんなに嫌だった?
それで怒らせてしまったの?

愛の言葉を初めて拒否されて、ショックを受けた私は黙ってしまう。


すると背中を向けていた彼女がいきなり私の腰らへんに抱きついてきた。
どういう事?

「ナ、ミ?」

「…そんなにサラリと言われたら、どうしていいかわからなくなる、から」


小さな声で呟く彼女は、耳まで真っ赤に染まっていた。

ああ、そういう事なのね。

それを見てやっと彼女の言葉を理解する。
理解した瞬間、自分の顔が熱くなるのがわかった。
きっと彼女と同じぐらい赤いかもしれない。

嫌われていなかった安心と同時に、また愛しさが込み上げる。


「ナミ」
「…なによ」
「愛してる」
「…!だから、そんなにっ」

がばっと顔を上げて怒ろうとする彼女の顔を引き寄せて可愛い唇を塞ぐ。
触れるだけ、だけれど長いキスを交わして。


「事実なんだからしょうがないじゃない」

笑顔でそう言うと彼女はさっきよりも真っ赤に染めて、ばかと一言呟いて俯いてしまった。


貴女の言う事もわからないくはないけれど。

やっぱり言葉でなくては伝わらないものあると思うの。

もっともっと貴女に愛の言葉を囁きたい。

私の口は貴女の為だけにあるものだから。


愛しい愛しい彼女の耳元に唇を寄せてもう一度囁いた。



"愛してる"



**********
一ヶ月記念お題ラスト作品です。
ラストですらこの出来はちょっと…orz

先日友達の惚気話を聞いてて思いつきました。
いつもサラリと言うから嬉しいのに恥ずかしくてしょうがないナミちゃん。
そしてすぐ勘違いしてしまうロビンさんは可愛いと思います。

読んでくださった方。
お付き合いありがとうございました!

2010.06.23




あきゅろす。
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