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 きまぐれに拾ってきた訳ではないらしい。
 実は意外とまともなのかもしれない。
 自分に必要なものが何なのかしっかり分かっている。
 ふとそう考えて、失礼な言い方だと打ち消した。
 何を考えているのか分からないなんて、そんな風に深く勘繰る必要などない。
 他人が思うよりずっとシンプルに、真っ直ぐに、この男は生きているのだろう。
 ついさっき飲み込んだ言葉も通じないはずがない。

「行ってくればいいだろう。きっとシークも寂しがってる」
「………」
「なんだよ」

 振り返ったリィは、不思議だとでもいう表情で。

「寂しくない。あそこにいるなら安里たちがいる」
「あぁ〜、だからそういう意味じゃなくて……」

 まともだと期待した自分がバカだった。そうルキオがため息をつきかけた時、歩き出したリィがポツリと言う。

「それに」
「?」
「子猫ちゃん怖がるもん俺のこと。いなくてホッとしてるかも」

 柄にもなくずいぶん可愛いことを。

「あぁ、それで『いるなら』って? で、どこかに逃げてるとでも思ってんのか?」
「子猫ちゃんは逃げないよ」
「はぁ? 支離滅裂だぞ」
「何が? だって子猫ちゃんは俺から離れられない」
「………やっぱりお前訳分からん……」

 全然可愛いくない。全然まともじゃないし、シンプルじゃない。
 むしろ複雑怪奇。

「もうどうでもいいからサクサク歩きやがれ……」



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あきゅろす。
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