13 なんだかんだ言って、半年以上も一緒に過ごした。 寂しく思っても不思議はないはずなのに、そんなことにはかけらも思い至らなかった。 「“運命の人”だもんねぇ」 安里が思い出したようにクスクス笑う。 「あれはリィが勝手に」 「シークは、好きじゃないんだ?」 そんなこと。 考えたこともなくて。 そもそも、好きだとかなんだとか、リィからだって言われたことはないし。 キスされたり。 いつの間にか、ベッドに潜り込まれていたり。 そういうことはあっても、なんというか、子どもがお気に入りのおもちゃにするような。 そんな気軽さで。 運命だなんて、どこまでが本気なのか分からない。 ただ、そんなリィの行動がいやではないのだから、シーク自身も嫌いではないのだろうと思う。 リィの真意も不安定な自分自身も、分からないことばかりだ。 「……」 シークを見つめる安里の瞳は優しい。 「ねぇシーク、見て」 唐突な声に考え込んでいたシークが顔を上げると、安里の手には小さなリングが乗っていた。 一瞬ピアスかと思った。けれど、つなぎ目がなくて。 何より、その模様に目が釘付けになる。 [前へ][次へ] [戻る] |