6 もう二年近く一人だったから、二人の温もりに触れて家族が恋しくなったのだろうか。 旅の仲間たちが、恋しく? 自分のことなのによく分からない。 「シーク? エビ、嫌いだった?」 フォークをサラダに刺したまま黙り込んだシークの顔を安里がのぞき込んでいた。 「え? 全然! 好き」 慌ててフォークを口に運ぶ。 「具合でも悪いのか?」 ジェスにまで心配そうな顔をされてブンブン首を振った。 「カザの奴に変なコトでもされたか? わざわざあんなとこ行かなくてもリィがカード置いてったろ」 「あの子かわいいもの好きだからねぇ」 「何にもされてませんよ?!」 逸れていく話を慌てて否定する。 何日か前、下のバーに立ち寄った。 ジェスが帰らない夜で、安里と外食した後何気なく入った。 外観の割に落ち着いた雰囲気の店で、味も悪くなくて。 同じ建物だけあって安里たちと仲のいい経営者が、色々サービスしてくれるから結構飲み過ぎた。 その経営者がカザ・メイス。 鮮やかなブルーに染められた髪と、いたずらっぽい目が印象的な青年だった。 [前へ][次へ] [戻る] |