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 道端にも昼間は無かった露天が並ぶ。
 独特の空気。
 薄いガラスの向こう側は、ひんやりした室内と対照的だ。
 無造作に置かれた書類の束もほとんど隠れた家具も、見慣れないせいかどこか作り物めいているのに。
 通りは胡散臭い生活感に溢れている。
 無意識に、服の上から幾何学模様のペンダントを握った。
 手の中で力強く脈打つ。
 柔らかい温もりが伝わり、訳の分からない微かな不安が霧散する。

「……シーク?」
「!」

 突然の声に息を飲んだ。一拍遅れて心臓がドクドクと動き始める。
 手を胸に当てた祈るようなポーズのまま、ぎこちなく振り向いた先には、黒いシルエットしか見えなかった。

「ごめん、驚いた?」

 シルエットが壁に手を伸ばすと仄かな灯りが灯る。安里の姿が浮かび上がる。
 オレンジ色の抑えられた光でも闇に慣れた目には眩しくて、目を細めた。

「眠れない?」
「なんか、懐かしくて」

 ほろっと笑ったシークに安里が不思議そうな顔をする。

「懐かしい?」
「このザワザワした感じが」
「騒がしいよね、ココ。嫌いじゃないけど」

 微笑んでキッチンに消える安里をぼんやり眺めた。



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あきゅろす。
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