トラヴァント王国の進撃
飄逸の将は美貌の王を恐れる(3)
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笑顔で夜の誘いをする主君にウォードはかぶりを振った。
「いや、遠慮しておくよ……想絆の契りを交わした相手以外とは、基本的に寝ないことにしてるんでね」
「身持ちが堅いねえ」
部下の拒絶を気にした風もなく、美貌の王は笑みを絶やさずに言う。
ウォードは主君に気取られないようにそっと息を吐いた。
――呑み込まれたくない。
アスキルに体を許すことによって、人の大切なものを何のためらいもなく奪うその男に身も心も支配されるのが、彼は恐ろしかった。
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