トラヴァント王国の進撃
飄逸の将は美貌の王を恐れる(1)
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さしたる損耗もなしに兵を率いて城に戻ったウォードは、敵軍との戦闘の様子を王に報告した。
「……で、バーシの軍は接敵後すぐに降伏してきたよ」
「らしいね」
この国を治める王、アスキルが頷く。
「大していくさ上手でもない相手の三千の兵を、
僕の四千の兵と『氷鬼』の異名を取るフィアンの二千の兵、
合計六千で挟撃するとは……。
まったく容赦がないね」
遠征からの帰途でアスキルの指示を伝令から受け取ってそのまま敵軍を挟撃しに向かい、
帰還後初めて王と顔を合わせたウォードは肩をすくめる。
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