no title
立ち上がれ
ここじゃないどこかに行けば、新しい自分になれるんじゃないかな、違う自分になれるんじゃないかな、って

知らない場所で、新しい仕事を探して、
そうしたら、今より幸せになれるんじゃないかって、


「そんなわけないのにね」
「そんなわけなくはないかもだけど、過酷だぞ」


居酒屋の心地好いにぎわいの中
向かい合って座る修平はネクタイをゆるめ、きれいに焼き魚を食べている


「修平は思わない?」
「うーん…要は今の生活が不満なんだろ?」
「まあ、そうだね」
「千尋はまじめすぎんだよ」
「どこがぁ」
「ま、俺は今のまま頑張りますよ」


なんやかんや言って、修平は頭良くて姐御肌改め兄貴肌?で、気さくで、頼りになるいいやつだから
きっと仕事もバリバリできて、人望もあるんだろうなあ


「なんだかねぇ」
「なんだよ、それ俺のビール」
「いいじゃんケチ」


今のこの道だって、自分で選んだものだったし、はじめは真っさらな気持ちでやってたんだけどね
ただ逃げたいだけなのかな、ってわかってはいるし
もしここでやめて、やりたいようにしたとしても、結局また同じこと思うんじゃないかな


「千尋だってわかってんだろ」
「んー…別に、ちょっとはね」


今の場所で、明日またなんかできるようになったり、わかったりすることがあるかもしれない
それがその先に役に立つかもしれないし、立たないかもしれないけど、
今はそれをやり続けるべきなのかな…


「今は今しかないんだって、知ってるか?」
「ふはっ、なにいきなり」
「あれだよ、後悔すんなよ」


つまり、まだまだこれからってこと
この歳になると、折れるのも簡単じゃなくなるし、行く道も険しい
そこを捨てるか行くかは、リセットするか、ここで何かつかむか、ってことか
よかったよ、聡明な幼なじみがいて
リセットするほどこの生活も不満じゃないし、リセットできるほど軽いものでもないしさ


「時々現実見たくなくなるけど」
「え、現実主義っぽいのに」
「…角煮服にたれてんぞ」
「わっ、どうしよっ、おしぼり!」






201203072317


自己完結だし終わり方見つからなかった(笑)

タイトルはYUKIちゃんからちょっと借りた
今のこの暮らしの中で立ち上がって生きていけ
ってかんじ

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