no title
ロンリー
イヤホンから軽快なポップス
人がゴミのような改札を見下ろしながら
夢で見たあの子は相変わらず制服のままでしたが、毎日は塗り重ねられてパーマはとれかけだしスニーカーは薄汚れるし
会いたい会いたい言ってる恋人たちなんてさっさと終われよ
見下ろす人の群れに、さっき手の平にねじ込まれたポケットティッシュでも降らせてやろうか
「ロンリーなかんじ?」
「悪いかよ。素敵なロンリーナイト中だ」
「なに、オナってんの?」
「今駅だ、しね」
「んだ、じゃあ近くで飲んでんだけど来ねぇ?」
こんな電話出るんじゃなかった
もう一回しんでもらって電源ごと落とす。すっげー、宇宙で自分がひとりだけみてぇ、だとかバカみたいに盛り上がってみて、改めて改札を見下ろす
だれもかれも、なんてことはひとつもない。
上から見下ろす。汚い金髪のヤンキーがいたら、髪がないおっさんもいる。時間に追われて走るヤツがいたら、ただ時間を潰すヤツもいる。俯いてひとりで歩くヤツがいたら、騒がしく笑いながら出ていく学生たちがいる
こんなに人がいる
しかもどれも違う
どっかにあの子もいて、あんな風に笑ってるんだろうか
まぁだったらそれでいいなあ
夢で見たあの子は相変わらず制服のままでしたが、知らぬ間に義務からは逃れられないし、煩悩なんか108じゃ収まらねぇし
真夏の夜のロンリー
20110210
ごった煮みたいな雑炊みたいな!
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