no title
だって世界は掬えない





世界は今日までだってあらゆる不条理や理不尽を受け止めてきたのだ、世界は今日までだってあらゆる愛情や感情を受け止めてきたのだ、世界は今日までだって、





だから、世界はこの瞬間だってすべてを受け止めているのだ
すべては見えない揺らぎなのだ



そう、世界は揺らぎによって成り立つ、不安定で不確かなものでしかない





今、僕に降り注ぐ光も
今、耳に届く音楽も
今、背を預ける椅子も




すべては一瞬一瞬に揺らぎ、受け止める世界の一部なのだ




今、まぶしさに目を細めた僕も
今、音に耳を傾ける僕も
今、立ち上がった僕も






すべては世界の一部なのだ、すべては不安定な、不確かな、不条理な、理不尽な存在なのだ
降り注ぐ光を腕で遮って、風の音に苛立ちラジオのボリュームをあげる


不条理で理不尽な存在でしかない、何者にもなれない僕らへ、



しかたないことだよ、と



「だって世界は掬えないのだから」









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あきゅろす。
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