高校生自由主義
プール・ブルーに叫ぶ








夏の空はまるでプールみたいに、どこか透明な、透けるような水色
夏の学校は、懐かしさ半分と叫びたいほどの青春半分
小池の金髪はスーパーサイヤ人みたいになってる





大学生活初めての夏休みであります
皆さんお久しぶり
週5でバンド練習して、週5で飲んでたけど、単位大丈夫なのかなって思っております
しゅんです



今日は前々から召集かけられてた男たち会員(定着してる)のクラス会改め男たち会

主宰のシンジが昨日彼女にフラれたらしくおもしろい状態だったり
寝てばっかのひろが一人暮らししてるという衝撃の事実をカミングアウトしたり
原ちゃんは立派な合コンマスターになってたり



久々に会ったけど、あぁ確かにこの人たちこんなにバカだったよ、とじりじり日焼けするほど感じた






「原ちゃんすげ日焼けしてんね」
一瞬誰かわかんなかったし、と笑うはるか
「こないだ海行ってさ、たまんね−よ水着!」
「ずり−!俺もピチピチしてぇ!原ちゃん俺らにも合コンセッティングしろ−!」
原ちゃんがニヤッと笑った瞬間騒ぎだした小池、がっつきすぎだ
「とりあえず彼女ほしい」
「ひろに欲が増えてる!」
「ひろの彼女とかどんな母ちゃんキャラだよ」
「はるかの妹でいいじゃん」
「お前、人の妹なんだと思ってんだ」
意外とはるかは妹離れできない質みたいな
「しゅんはどうなの?彼女いねーの?」
「いない」
「そら週5でバンドで飲んでたらな!しかたないよしゅん!」
…なんか小池に意気揚々と笑われた
「やあっぱ合コンセッティングしてくれ!」
「どんだけ女の子呼ばなきゃなんねーんだよ」




昨日フラれたばっかなくせにシンジはもう生き返ってるし、原ちゃんはほんとによく焼けてる
あそーは余裕なかんじで笑ってるから、きっといるんだな
結局はひとりの子に縛られるなんてあほらしいんだよね!俺は一生涯、高田純次を師匠として生きるから!
立ち直ってるのかないのかシンジは涙を拭きながら走り出すし




「よし!サッカーだ!」
「これ以上日焼けしたら俺の尊厳が失われるわ」
「小池、体育倉庫の合い鍵作ってたよね?」
「え、小池なにしてんの」
思わずあそーびっくり
「一応サッカー部だったからさ−」
「ずっとベンチだったじゃん」
「うるせ−!甘酸っぱい思い出じゃ!」




小池が当時作った合い鍵は卒業してからも変わらず、自転車置場のジグザグ屋根と支柱の隙間の缶の中に入ってた
おまけに体育倉庫以外にも家庭科室と渡り廊下の合い鍵まで持ってた
小池ってなんなの?スパイなの?


「ちげーし。これ腹減ったときに忍び込む用」
「家庭科室っていってもいつも食べ物あるわけじゃないだろ」
「塩とか小麦粉とか、料理部用のやつが多少あるのよ」
「え、塩食べてたの?」
またもあそーびっくり
「腹ふくれる?」
「塩分とりすぎだからそんな背低いんじゃない?」
「ナメクジじゃねぇから!塩で縮まないし」
「元から小さいじゃん」
「スーパースモールサイヤ人」
「せめてスモール最初につけて!」




あほらしっ!叫んで、シンジが鍵持って体育倉庫に向かって走り出したら、小池が張り合って猛ダッシュかけてついてった
もう週5で飲んでたら体力もないわ、と思ったけど意外と走れる自分に勝手に満足して、全霊でボールを追いかける





夏の空はさっきより一段と青さを増して、汗まみれのアホな大学生をじりじり見下ろしてる

何にも気づかないで過ごした子供の頃の夏も、気づかないふりでふざけ倒した高校生の夏も、世の中の一辺を知りはじめたこの夏も、いずれ思い出になっていく
ピーターパンにはなりたくないけど、こいつらとバカなまま大人になりたいと、思ってしまう




プール・ブルーに叫ぶ




「女の子ふってこーーーーーい!!!」







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