高校生自由主義
ケチャップ戦線




高校最後の夏休みは、いともカンタンに過ぎ去ろうとしていた




「た〜まや〜!」
「恥を知れ」


スパーンと頭をはたかれる小池くんは先日めでたく誕生日を迎えました
ちなみに、はたいたあそーはなんとAO入試で大学が決まりそうらしい(なんてこと!)


昼間の暑さはどこいったのやら、涼しい風が吹く夜の公園(年末はここで流れ星見たなぁ)のど真ん中に、チャリ族よろしく集まってるわけだが。こんな平地からも見えるくらい近くで花火がうち上がるのだ



「おっまえらーはっなびー」
「どうしたんだひろ」
「変なテンションになってるけど」
「ほんとは夜行性とか」
「いや、多分寝てないとか」
「ちがう、覚醒したんだろ」
「じゃああの異常なテンションが素なの?」



ジャングルジムのてっぺんでわけわかんない歌をうたうひろ、テンション謎



「あ〜夏休みおわっちゃう」
「まあ学校行ってばっかだったけどなあ」
「七夕行ったべ」
「あー行ったなあ」
「女の子泣かせたりしてな」(ふたつほど前参照)
「ちっがう、人聞きわるい言い方しないでくれ」
「そうだろ実際」
「いや、うん、そうだ」
「おー、花火」
「あーほんとだ」




高校最後の夏休みはいともカンタンに過ぎ去ろうとしていたけど、それを感じながら、あせりながら、何もできずに花火を見上げる高校生活は、すごく無気力だけどすごく有意義だと思う



「あー、すげえ!」
「きれーだな」
「あーおれ花火になる」
「がんばって」
「じゃあ花火師になる」
「やめれやめれ」
「じゃあ火薬になる」
「危険物だぞ」
「いや、すでに危険物だよ」
「あそー焼き肉!」
「またかよ!」



紺色の空に消える花火は夏の終わりを運んでくるけど、それはこれからの未来のような輝きを持って背中をおしてくれた



「よーし!焼き肉だ!」
「またかよ、もう来んなって」
「小池の誕生祝いだって!」
「あれ、いつ?」
「先週の月曜日!」
「へー」
「キョーミないなら聞くなよ」




「とりあえず腹減ったー」
「これで最後だからな」
「あそーのケチ」
「あそーのケチャ」
「あそーのケチャップ」
「あそーのマヨネーズ」
「あそーwithマヨネーズ」
「マヨネーたち?」
「おれたちマヨネー?」
「マヨネーってなんだ?」
「…」




夜空にぽっかり穴があいたみたいに、って最初に形容した人すご、と思うような月が見下ろしていた






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なんだコレ!



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