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D:あえて言うなら











「デスコール、眠いのかい?」
「…眠くなど、ない。」

気を遣って聞いたつもりなのだが、隣からは不機嫌そうな声が返ってきた。
しかし言うそばから頭がゆらゆらと、あちらへ、こちらへ。

「ふ、ふふ、そうかい、それはすまなかったね。」
「…何を笑う、エルシャール。」
「笑ってなどいないさ。」

ソファで資料を読んでいる私を待つと、彼が隣に座って数時間。
時間がかかるからと何度も言ったのだが、これが聞く耳を持たない。
夜も深い私の部屋を、ただランプのあたたかい明かりだけが照らしていた。

「笑っただろう、今…終わるのは、まだか。」
「そうだね、もう少しかかりそうだ。」

眠気のせいだろうか、喋り方がどこかのったりとしている。
見えはしないけれど、仮面の下の瞼も相当重くなっているはずだ。
こっくりこっくり、船を漕ぐのが可愛いと思ってしまったのは、黙っておかなくては。

「私には気を遣わず、眠っていていいんだよ?」
「だから眠くないと、言っているだろう。」

き、とこちらを向いて、睨んでいるのだろうか。
しかし迫力は全くない。

「ただ、退屈だ…何か話せ、エルシャール。」
「ふふ、随分と唐突な事を言うね。」

なんだかもう、駄々をこねる子供のようだ。
ルークの方がよほど分別があるなと思いながら、思わず苦笑した。

「だけど、話しながらだと資料を読み終わるのが遅くなってしまうよ。」
「なら、それでいい。読め。」

腕と脚を組みながら、私の持つ資料を見ている。
ああ、ますます眠そうだ。
もう寝てしまうのではないだろうか。

「ふふ、これをかい?君のとは違う分野だから、面白くないんじゃないかな。」
「構わない。お前の声を、聞いていたいんだ。」

ぼそり、ぼそり、彼はなかなかに恥ずかしい台詞を言っているのだが、それに気づいているのだろうか。
気障な言葉を使うことが多い彼だが、今は明らかに頭がうまく働いていないのが手にとるようにわかる。
それがなんだかおかしくて、くすりと笑った。

「じゃあ、読むよ。」
「ああ。」

そう言って、少し読み始めた頃だろうか。

「――この理論を用いた時、写真の地層から判断するにこの遺跡は……」











……とすっ。










膝の上に、何かが落ちた。

「……デスコール?」

見れば、さっきまで駄々をこねていた人物が私の膝を借りてすやすやと眠っている。
器用に帽子も仮面も付けたまま、腕まで組んだままだ。

「ああ、全く……」

風邪を引いてしまうよ?
呼び掛けるけど、起きる気配はない。
膝上に、ファーの感覚がくすぐったかった。

ああ、全く、もう、













(こういうのを、愛しいと言うんだろうね。)















伝わる重みと温もりに、そっと微笑む。
彼に気付かれないよう、帽子の上に口づけた。

「おやすみ、ジャン。」

















(………ん、重い……。)
(私にのしかかっているコレは、エルシャールか?)
(……とにかく、しばらくは動けそうにないな。)











※※※

先生もデスコにかぶさって寝てしまったようです。
膝枕バンザイ!

レイデスっぽいですがデスレイと言い張ります。
先生が読んでる資料は適当こいてるので深く追及しないで下さい^^



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