N:白い息に口づけ(レイクレレイ)
(ユーリ様へ/相互お礼)
「さむいね、クレア。」
「うん、さむいね。」
声を出すと、ほう、と白い息が夜空にのぼっていく。
雪はやんでいたけれど辺りにうっすらと積もっていて、街灯の光を受けた町並みはほの明るかった。
「エルシャール、もう少し持とうか?」
「はは、大丈夫さ。」
夜道にさくさくと二人分の足音が重なる。
寒いからだろうか、少し遅い時間から夕げの仕度に出た二人以外に、人の姿は見えなかった。
レイトンは大きな紙袋を抱えていて、中にはにんじんに、じゃがいもに、たまねぎに…家に着いたら美味しいシチューになる予定のものがぎっしりだ。
「それより、君の手が寒そうだ。大丈夫かい?」
「ふふ、平気よ。ありがとう。」
そういって両手をこすり合わせるクレアの手は、寒さに赤くなってしまっている。
どうやら手袋を忘れて出てしまったらしい。
「もっと早くに気がつけば良かったね。僕の手袋で良ければ…」
「もう、エルシャールは両手がふさがってるんだから、気にしなくていいの。」
確かに、レイトンの抱えた紙袋からは今にも野菜が落ちそうなほどだ。
くすくす、クレアは困ったように肩をすくめて笑ってみせた。
「でも…」
「うーん、じゃあ、」
それでも心配そうなレイトンの声にクレアが歩を止める。
それを不思議に思って振り返ったレイトンの頬を、ひやり、クレアの両手が優しく包んだ。
「ク、クレア…?」
「ほら、あったかい。」
ふふふ、花がほころぶように笑う彼女に、レイトンはう、とかあの、とか呟くばかりだ。
頬に当たる感触は冷たいのに、顔はかああと熱くなっているのがわかる。
二人ともほんのりと赤いのは、きっと寒さばかりのせいではないだろう。
「でも、これじゃエルシャールが寒くなっちゃうね?」
「え、」
ほら、白い息。
言うが早いか、レイトンが深意を尋ねる前に、彼女はそっと触れるだけの口づけを落とした。
「あったかく、なったかな。」
「……おかげさまでね。」
そう言ってレイトンは紙袋で真っ赤になった顔を隠すのだが、クレアだって負けず劣らず赤い。
ふふ、くすくす、二人は顔を合わせて笑うと、また歩きだした。
家に着いてコトコトとシチューを煮込む間も、二人はやっぱり笑っているのだろう。
白い息が二人分、ゆっくりのぼって星空にとけた夜だった。
(あなたの白い息に口づけ。)
(それは、途方もなく幸せな夜。)
※※※
ユーリちゃん、お待たせしました…!
レイクレレイとユーリちゃんへの愛を、ぎゅうぎゅうに込めて書かせて頂きました^^
レイクレレイいいですよね…はあはあ
だいぶと季節外れな感じが否めませんが、貰って頂けると嬉しいです^^*
改めて、相互リンクありがとうございました!
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