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ようこそ。

「がおーっ!!」
「ばじゅらめ!かくごぉ!」
「ぐるるる…がぁー!!!」
「うわぁ!このっ、おれのしょーとぶれーどでたおしてやる!やぁ!!」
「ぐおー!!」
「にがさないぞ!」
「こら、リンドウ、タツミ。家で走り回っちゃだめだろ」
タツミと一緒にゴッドイーターごっこをしていたら、父さんが帰ってきた。
「おかえりなさい」
「あぁ、ただいま」
父さんは何だかそわそわしてる。
どうしたんだろう?
ツバキも、少し遅れて帰ってきた。
「姉ちゃんおかえり。」
「ただいま。部屋はちゃんとかたづけたのか?」
父さんとツバキが出掛けるときに、片付けておけって言われてた気がする。
でも、やってない。
「あ。……りんどう、かたづけいこー」
「うーす」
タツミに誘われてリンドウは一緒に部屋に戻る事にした。

リンドウ、タツミ、ツバキはいつでも一緒だ。
でもツバキは、最近は母さんの所に行ってばっかりで家にいないから、ちょっと寂しいなって、たまに思う。
内緒だけどな!

タツミの後ろについていって、部屋についた。
自分達で汚しておいてなんだが、ひどい。
とにかくひどい。
床にはおもちゃが散乱してるし、入学祝いとかいって大きな机をもらったけど、色んな物が乗ってて見えないし、埃もきっと沢山溜まってる。
「…やばいな」
「何が?」
「母さん帰ってきたらきっとすごく怒られるぞ」
「や、やだ!」
タツミはすぐに片付け始めた。
リンドウも母さんに怒られた時の事を想像して、急いで片付け始める。
雨宮家の母はとっても優しいけど、怒ったら怖い。
凄く怖い。
ピターよりも怖い。
二人はきれい好きな母さんに帰ってきた途端怒られないようにせっせと動いた。





黙々と片付ければ、1時間くらいでだいたい綺麗になり、仕上げに掃除機をかけてからリビングに戻った。
「リンドウ、タツミ、ちょっとおいで」
リビングに入ってすぐ、父さんに呼ばれて、なんだろうとタツミとリンドウは目をあわせてから父さんの所に行くと、いきなり頭をわしゃわしゃ撫でられた。更に訳が解らなくて父さんの顔を見上げると、すごく嬉しそうな顔をしてた。
「いいか?聞いて驚くなよ?実はな…明日家族が増えるんだ」
「ふえる?おかあさんかえってくるの?」
「もちろんお母さんも帰ってくるぞ」
「弟が増えるんだ」
弟が…ふえる?
一瞬ツバキの言ってることが理解できなかったが、少ししたらリンドウもタツミも言っていることがわかったと同時にすごく嬉しくなった。
「ねぇおとうさん、おれもにいちゃんになるの?」
「あぁ、そうだぞタツミ。ちゃんとお兄ちゃんらしくするんだよ」
「うん!…おれもにいちゃんになるのかぁ」
嬉しそうにタツミが笑って、父さんがまたタツミの頭をわしゃわしゃ撫でた。
「わ、やめてよ父さん。おれだってもうあにきになるんだ、もうこどもじゃない!」
「そうか、そりゃ悪かったなぁ」
タツミは少しむっとしたけど、すぐに笑顔に戻った。父さんも、ツバキも。
もちろん、リンドウも。
「リンドウ、弟二人の面倒ちゃんと見てやるんだぞ」
「任せろ!」
「ツバキもな。三人は大変だと思うけど」
「大丈夫」
「頼んだぞ」








その日は、リンドウもタツミも寝付けなかった。
「どんなこかなぁ?」
「そんなの解らない。でも、楽しみだな!」
「うん!」
「よし、じゃあ寝るぞ」
一言断りを入れて、リンドウは部屋の電気を消した。



***




次の日の朝は、言わずもがなリンドウとタツミはリビングのソファーに並んで座り、そわそわしていた。
父さんは母さんと新しい弟を迎えに行って、ツバキも一緒に行ってしまった。
行きたいと父さんに頼み込んだが、
「お前らが来たらうるさいし、車狭くなるだろ?だから留守番しててくれ。二人とももう子供じゃないなら大丈夫だって父さん信じてるからな」
と言われて、タツミが大丈夫だ、まかせろ!と意気込んでしまって今に至る。


そしてそのまま十数分経ったとき、ガチャッと、玄関から音が聞こえてきて、反射的に立ち上がった。
ドキドキしながら待ってると二人の視界にツバキが入ってきて、その後ろに、久々に見る母さんとその腕の中にある白い物体が映った。
「ただいま」
「おかえり、母さん!」
先にタツミが母さんに駆け寄って、それにリンドウも続く。
母さんの足元ついたら、屈んでくれて腕の中の白いものの中身が見えた。
「うわぁ…」
思わず感嘆の声が出た。
そこには、褐色の肌の小さな赤ん坊がいた。
今はすやすやと気持ちよさそうに眠っている。
「可愛い」
そういうと、母さんは当たり前のように、
「でしょ。触ってみる?」
「いいの?」
「もちろん」
そういわれて、触っては見たいけど、初めて見るそれに触れてもいいものなのか、二人そろって遠慮してしまった。
どうしようかとリンドウとタツミが目線を合わせていると、傍にいたツバキがその赤ん坊の頭を撫でた。
「別に怖くない。ほら」
そう言って笑って、母さんはリンドウの方へ差し出した。
リンドウは恐る恐る受けとると、自分の腕の中にある重みをじっと見つめた。
「どう?」
「ちっちゃくて、柔らかい」
「可愛いでしょ」
「うん!」
「お、おれもさわる!」
「ほれ」
両手をずいと差し出すタツミにリンドウは赤ん坊をそっと渡した。
「わっ、…うん、ちょっと重たい」
「ふふ、すぐに大きくなるわよ」
「おれのほうが大きい!」
「抜かれないように頑張れタツミ。リンドウもな」
気付いたら父さんも帰ってきてた。
これで、家族全員が揃った。
「よく寝てるなぁ、ソーマ」
ぽそりと父さんが言った。
「そう、ま?」
「あら、まだ教えてなかったの?この子の名前ね、"ソーマ"って言うの」
「そうま、ソーマ。雨宮ソーマ。うん、よろしくなソーマ!」
「うちにようこそ!ソーマ!」
リンドウとタツミが笑いかけると、父さんや母さん、ツバキも微笑む。
不意に、タツミがソーマのほっぺたを軽くつついた。
「やわらかい」
「俺もやる!」
ぷに。
「おお、やわかい」
ソーマの両方のほっぺたを二人でつついていると、寝ていたソーマが目を覚まし、
「うぁぁぁん」
泣き出した。
どうしていいかわからなくなってわたわたしていると母さんが来てソーマを抱くと、安心したのかきゃっきゃと笑い出した。
「何やってるんだ」
「だって…」
「まぁ、そういってやるなツバキ。二人とも、ソーマはまだ赤ん坊だから優しくしてやれ」
「はーい」
「なぁタツミ。俺らでソーマを守ってやろうな」
「もちろん!」




ようこそ!!
(これから始まるどたばたえぶりでい!)

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あきゅろす。
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