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「ん……」


いつも寒くて起きるけど、今日はあったかい。

「んー」

あったかくて、すっごい抱き心地がいい。


「んー……?」


あ、そういえば智春が来てるんだっけ……。


本当にあったかい。

冬は毎日来てくれないかな、と馬鹿なことを考える。



そろそろ大門が開く時間だ。

抱きしめてくれている腕をゆっくり下ろして、布団から静かにでる。


簡単に髪の毛を揃えて着物を羽織ると、智春がもぞもぞ動いた。



「……智春」

「んー……」

「智春、時間」


ゆさゆさ揺すって起こすこの時間が、すごい楽しく感じる。


「智春ってば、起ーきーてー」


掛け布団を剥いでやろうか、というところでやっと覚醒したらしい。


「んー、なんでこんなに気持ちいいんだろ。ここ」


「ただの普通の布団だろ。さ、早く」


急かすんだけど、また寝そうな勢いだ。


「春菊と寝ると、すっごくぐっすり寝れるんだよねー」

「はは、抱き枕が必要なの?」


俺もアンタと一緒だとよく眠れるよ、と言いながら腕を引っ張って起こす。



「おはよう」


「……おはようございます」


あ、ほんとは俺から言わなきゃいけないのに。

ったく、智春といるとペース狂わせられすぎ。



朝餉はいつもいらないという智春。

それは少しでも節約するためか、と勘ぐってしまう。


「車は?」

タクシーを呼ぼうかと、上着を渡しながら聞く。

顔も洗って、すっかりいつもの智春になっていた。


「いいよ。歩いて帰るのも楽しそうだし」


……アンタはふらふら車道に入りそうで怖い、とはさすがに言っちゃいけないと思った。

一応お客様だし。




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あきゅろす。
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