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やっぱり自分には勇気がない。

この澄んだ青がかった眸を真っすぐ見ることなんて。

鷹通は花月の肩を引き寄せるときつく抱き締めた。

急に、何か暖かいものに包まれて、聞こえたのはバッグの落ちた音と、鷹通の鼓動。

「花月。これ以上心配させないでくれ……。君は僕にとって大切な――…」

腕をゆるめ、眸を覗き込まれる。

「僕にとって大切な人なのだから」

……何を、言っているの……?

大切……?

大切な下働き?

「鷹通様……。朝会に遅れます、お早く――…」

「どうして花月は僕の気持ちを知ろうとしない?どうしてそうやってはぐらかす?僕は君の何なんだ?」

そんなの、決まっている。

主以外の何者でもない。してはならない。

大切な大切な、優しい

「……主です」

愛しくて、恋しくて、恋い焦がれる

「……主人です」

「それだけ?」

「……え……?」

それ以外の何者でもないはず。してはいけないはず。

鷹通は何を求めているの……?

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あきゅろす。
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