不意に、ロッシがさくらの腕を掴んだ。
「泣いてる暇なんかない。行きますよ」
「い…行くって」
「勿論、白蘭様の所です」
さくらは唾を飲み込んだ。
強引に立たされて、少しよろける。一度に色々なことがありすぎて、頭がついていかない。
そんな中でも考えるのは、ヴァリアーのみんなのこと。
みんなは…無事なのだろうか。無事であるといい。
耳に付けた無線も、今では耳障りな雑音しか聞こえなかった。
さくらが連れて来られたのは巨大な装置の前だった。
「な…なにこれ」
「超炎リング転送システムです」
さらりと言いのけるとロッシはリングに炎を灯す。
その刹那、浮遊感を感じるなり、次の瞬間にはさくらは見知らぬビルの前にいた。
「ここはミルフィオーレの本部。ロビーで白蘭様がお待ちです」
さくらは驚きを隠せなかった。
あの一瞬で森から本部まで移動してしまったということだ。
ロッシに促され、なすがままに足を踏み入れる。
「キミがさくらチャンだね」
聞こえた声に、背筋に悪寒を感じ、顔を上げるとそこには。
「やっ♪ようこそミルフィオーレへ」
全身に白を纏ったミルフィオーレのボスが手を振っていた。
白いアネモネ
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