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short story
川嶋くんの狂愛喜劇シリーズ04『痛み』
 
平和だなぁ
爽やかな風が自分の髪をなびかせるたびに、そう頭の中で呟いていた。

ドコッガッ

きっと今、全国民が思っているに違いない。

ドカッ

だがしかし、校舎を曲がったところで、それは一瞬にして腐った世界へと変貌する。
思わずストローを噛み締めた。

俺にはゆっくりと振り上げられた様に見える拳を、握り潰すつもりで受け止めれば、相手からは小さく呻き声が上がった。
さらに左から拳がきたが、残念なことに、右は別の拳で忙しく、左は今飲んでいる紅茶で忙しい。
もう吹っ飛ばすつもりで蹴りあげる、しかなかった。
その間にまた別の拳が自分の顔面目掛けてやってきたので、取り敢えず、それを首だけで避けて頭突きを食らわしてやった。

「正当防衛」

この間これを呟いたら、今の世の中、正当防衛と見なすような傷が被害者にもないと認められないと思う、と言われた。
まったく、ふざけた世の中だと思う。

「あ、あの……有り難う、ございました。川嶋先輩」

だがしかし、きっと正当防衛で今回は通るだろう。
本当の被害者は、見るに無惨なほど、ぼろぼろだ。
…あぁ、腐ってる。

「……お前、俺のこと知ってんの」

「は、はい。それは、勿論」

何故か少し頬を赤らめながら、後輩らしい少年は、俯いていた顔をガバッと上げて声を張り上げた。

「か、川嶋先輩はっ強いですから!!それに、優しい!!」

「…は?何言ってんだ。てか、何で興奮してんの。」

「だって、先輩は相手を一発でのしちゃうじゃないですか!!優しいですよ!!!」

あぁ、きっと彼は理不尽な暴力に遭いすぎたのだろう。
殴られ過ぎて頭がイカれてしまったんだ。

「あ、あのっ一つだけ、お願いしたいことが、あったんです…」

「…なに…」


まぁ、なんだ、取り敢えず。






「僕を足蹴にしてください!!!!///」







正当防衛は成り立たないだろうな。
 

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あきゅろす。
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