short story
川嶋くんの狂愛喜劇シリーズ03『ストーカー』
「俺・・・ストーカーに遭ってるかも」
勇気を出して幼馴染に告白した。
牛乳をストローで飲んでいる幼馴染を見ながら、もしかしたら噴き出してしまうかもしれないと思いつつも告白した。
だが、彼は予想以上に、思っていた以上に冷静かつポーカーフェイス、もとい真顔だった。
「俺けっこー真剣かつ真面目に、深刻に話したんだけど・・・?」
別に、話を聞いていないのではない。
昔からこいつはこうだった。
「いや、てか、あ〜〜〜〜〜・・・・・・知ってた。」
言い難そうにしながら結局はっきりかつズバッと言ってしまう君がいっそ清々しいくらい大好きだ☆
もちろん、俺自身知らなかったわけではない。
現在高校3年にして、高1から被害に遭っていたら、クラス中、学校中に噂にならないわけがない。
まぁ、今となっては、既に“噂”として流れてはいない。
だがしかし、それまで誰にも言わずに一人で耐えていた自分が、自分大好きなわけではないが、偉過ぎると思うのだ。
「もういっそさ、犯罪に手を染めてみるのもありかなって思うんだよね〜。どうよ、川嶋」
「犯罪相手に犯罪するなら、プラマイ0じゃねぇの。」
「うっ・・・いい事言うな!さてはお前も相当苦労してんだろ!!」
「・・・・・・お前ほどじゃねぇよ」
(川嶋とその他大勢からみた非日常が、俺の日常で)
背後の草木が不自然に揺れるのを、もはや“いつも通り”と感じてしまっている自分を心の中でしばきながら。
少し、涙が出た。
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