Alice's Watch
第2話 決意【ちかい】
アリスとシトはある教会に来ていた。
それはそれは綺麗なところである。
真っ白なお城のようで・・・・・。
でも、その光景は、一人の少女には不愉快なものだった。
その場所に、ではない。
居心地が悪いのだ。
自分はこんなにも――――――――
「・・・・・血ですね。」
何故だか、全身が反応したように感じた。
アリスは教会の椅子に座ったまま、シトの言葉を待った。
「この血は・・・貴女のものではないようですね。色々混じっているようですし。」
こうも淡々と言われると、少し拍子抜けしてしまう。
シトはアリスの後ろで、椅子を背に寄りかかりながら自分の手を見ていた。
それはアリスを抱えた時に付いた血。
「これは貴女が望んだ事ですか?アリス様」
それは怒るでも、悲しむでもなかった。
ただ優しく、微笑むように訊く。
アリスは自然と、シトを見ていた。
まだ感情の篭っていない瞳を、そっと閉じる。
「私は、気づいたら真っ赤だった。何も覚えていない。」
自分でも分かる、感情の篭っていない言葉。
体中にべっとりと付いて固まった血。
たとえ目を閉じたとしても、消える事のない光景。
全てが私を見ているように感じる。
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