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Alice's Watch



「“ドール”今日もちゃんとこなして来た?」


「・・・・・・・・」


それはそれは小さな女の子は、その天使のような笑顔とは裏腹に、冷たい口調で語りかける。


“ドール”、その名の通り人形の意。


世界の財閥が子息子女を守るために作られたもの。

それを人々は“ドール”と称した。

もっとも、彼らが生きていることには変わりはないのだが・・・。

人々はいつしかそれを、“ドール”として、人形として扱っていた。


「あぁ、喋ってもいいよ?もっとも、その姿を見れば分かるけどね。」


女の子は愛しそうにそれを見つめる。


「ふふ、本当にやってくれたんだ?僕の愛しい“ドール”。」


女の子はそれを拭う。

それが月の光に当たれば、妖しい光を放つ。


それは女の子の目の色と酷似していた。


「僕の愛しい“ドール”。僕のお人形・・・・」


その時の女の子の顔は、とても美しい天使の表情。





殺戮の天使―――――――――――。





「明日も頑張ってね。お人形さん。」


女の子は濡れた手を“ドール”の服で拭くと、そこから消えて行った。

それから夜の沈黙が、只管狭い空間に広がる。

すると“ドール”は思い出す。

女の子はまだ解除したままだ。

“喋る”ことを。

一人と言う中、静寂仕切った空間で、ただゆっくりと口を開く。


「・・・・・・真っ赤」


ふと、月明かりに照らされた自分の服を見る。

元から赤い色だった服にべっとりと付着するもの。

奥にある大きな鏡を見れば、服だけでなく、自分の顔までもが染まっている。

それをしばらく見つめていた。

目の前に少し前の光景が浮かび上がる。

それは真っ白で大きな屋敷の出来事。

その日は、賑やかだった。

だって誰かの誕生日だったから。

真っ白な中に、とても輝いていた人々の笑顔。

上を見上げれば、眩しく輝くシャンデリア。

辺りを見渡せば、沢山のごちそう。



そこはまさに理想のお城。



でも、それは少し前までのこと。

その理想もたった一つのものに壊される。

絶えず輝いていた光は、闇に飲み込まれたのだ。


一瞬で真っ白なお城は、真っ赤になる。


もう、そこにいた人たちの、顔も思い出せない。

一瞬だったから、記憶に焼き付ける暇もなかった。

いや、自分は、目を瞑っていたのかもしれない。

血が、目の中に入って来たら面倒だから。




そう







すべては私がした事――――――――――――――――







 

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あきゅろす。
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