Alice's Watch
第4話 訪問者【ねこ】
「さて・・・・・相変わらず、素敵なリビングですね。」
シトとアスが向かったのは、教会内で二番目に広いリビング。
本棚でぎっしり埋め尽くされたその部屋は、言うまでもなく本が溢れ返っている。
「調べごといっぱいあったからさー。あとは暇なんだけどね。まぁ、座ってよ。」
どこに?と聞きたくなるこの状況。
仕方がないので、そこら辺に積んである本の上に座った。
「じゃ、まず、どうやってアリスを見つけれたのか、教えてよ。」
アスは何やらふてくされた様にいった。
「・・・・あれは、私が見つけたというより、逢わさられたんですよ。猫によって。」
アスは目を見開いた。
そしてシトと目が合う。
「じゃぁ、僕が調べても分からなかったのに、奴はとっくにアリスを見つけてたってのか?」
「そうなりますね。まぁ、実際私は会ってはいないのですが、あの場に猫の匂いが微かに残ってましたし、アリス様のあの状況も、あいつなら納得がいきます。」
「・・・・・・“惑わしのチェシャ猫”、か。」
アスは確認するかのように呟くと、シトは静かに頷く。
「しかし、分からない。何故奴は私をアリス様に逢わせたのか。何故、少女の姿をしているのか。まぁ、まだ思う所は幾つかありますが・・・」
そう、何より分からないのはどういう思惑があるにせよ、結果的にシトを“助けた”ということ。
シトは考え込んだ。
するとアスは溜息をつく。
「それ、君の悪い癖でもあるよ。そりゃあ、僕はアリスを探す方法を大々的に調べていたけど、それだけじゃないんだからね。本当、焦ったよ。君が来た時は・・・」
「・・・・・・・アス、私は、まだ言っていなかった事が――――」
(見ぃつけたぁ〜)
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