Alice's Watch
2
奥にはたくさんの部屋がある。
この黒い教会は、とても大きいのである。
するとシトは、ある一つの部屋でとまり、アスが入ってくる前にすかさず戸を閉めた。
「ちょっ、シトくん!?そこお風呂―!ここ教会ぃぃー!!!」
ドアを必死に叩いていたアスに、シトは強烈な一撃を喰らわした。
相手が完全にそこにいるだろうと知った上でのドア挟み。
「あぁ、すみませんが、お風呂をお借りしますね。アリス様はひどくお疲れのようなので。」
なんだか、少しズレた謝罪だが、アスは何やら納得したようであった。
「いてててて・・・。にしても、やっぱりあれは血の臭いだったんだ。まぁ、アリスのでなければ、どうでもいいけどね。」
神父あるまじき言葉である。
「しかし、あのままアリス様に付けておく訳にはいきませんから。ここの妖精お借りしましたよ。」
「構わないよ。でも珍しいね。シトが他に任せて出てくるなんて。」
話しながら二人は歩き出した。
「・・・・・追い出されたんですよ。妖精に。今の私はとても嫌われているようですからね。」
そう言うシトに表情はない。
本当にアリスしか思っていないようである。
しかしそんな彼を、アスは心配そうに見つめていた。
end
第3話 〜感動すべき再会〜
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