忘却葬送曲
prelude 9
・・・キィーン!
先ほどよりもかなり近い、その音を俺の耳が捉えた瞬間、目の前にあった壁が音もなく消え去った。・・・あとには、砂の山しか残っていない。
その細かい粒子が舞い上がり、白く煙っている先に、・・・この無茶苦茶なことをした、犯人の姿が見えた。
有名な進学校の制服を崩さすに着ている、どこか人を惹きつける容姿をした、ただの真面目そうな少年だった。
だが、彼の目を見て、それは違うと直感的に感じた。
銃を片手に持つ俺を見つけても全く動じず、自分の成すべき目的をただ冷静に遂行しようとする、
・・・凶悪犯が持つ、冷たい炎が宿った目。
(あいつは、やばい。ここで止めなければ、何が起こるか分からない)
そう瞬時に判断した俺は、迷うことなく彼に銃口を向けた。
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