忘却葬送曲
prelude 7
「緊急事態、緊急事態!一般署員は急ぎ退避せよ!警備部隊は持ち場につけ!」
鳴り続けるサイレンと、建物全体が揺れているような振動と発砲音、僅かに人の悲鳴。
「一体、何が起きているんだ・・・?」
俺は開いていた書類を急いで鞄に仕舞い、牽制用の銃を握った。
それと同じタイミングで、部屋のドアが勢いよく開き、自分の部下が息を切らして入って来る。
「永井さん、早く逃げてください!この建物は、じきに倒壊するそうです・・・!」
「はっ?何を言っているんだ。そんな馬鹿な・・・」
・・・キィーン・・・
俺の鼓膜を、高い金属音が激しく揺らした。それと同時に、建物が轟音を立てて傾く。
「本当に、倒れそうだな・・・!」
俺は揺れに耐えながら、その手に銃を持ったまま、足早に部屋から出て行った。
誰も残っていない、いたるところに亀裂がある廊下を走りながら、部下に状況を聞く。
「今日捕まえた容疑者の少年が、妙なものを使い、この建物の壁や床を片っ端から崩壊させているそうなんです。
警備隊が撃った銃弾も一瞬で塵にしてしまい、犯人には全く手が出せていないようで・・・、にわかには信じがたいですか、確かな情報です」
「なんだ、その無茶苦茶な奴は・・・。そんな危険なもの、どうやって手に入れたんだ・・・?」
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