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忘却葬送曲
fifth movement 3

「・・・真琴!無事だったんだね、本当によかった・・・!」

目を覚ました透夜は、僕を見つけると嬉しそうに声を上げた。僕は手を伸ばしてきた彼を抱きしめた。

「透夜も、よく頑張ったね・・・お父さんをここまでつれてきたんでしょう?」

「この洞窟なら安全だと思って・・・祥太も、ここに来るかと思ったんだけど・・・」

「・・・もしかしたら、別の場所にいるかもしれないね」

「うん・・・お父さん、体痛い?」

「透夜、・・・大丈夫だ」

心配そうな目を向ける透夜の頭を、正志はいつものように撫で回した。
視線を洞窟の入口の方に移せば、強い日差しが入り込んでいる。

「これからどうしようかな・・・。なんとか島から脱出しないと」

「・・・軍が、生存者確認のために上陸している可能性がある。迂闊には動けないな」

「でも島から出るには、船に乗るしかない・・・結局、軍に接触しないとどうにもならないのかな・・・誰か来る」

僕の耳が僅かな足音を捉えた。・・・徐々にこちらに近づいてくる。
複数ではなく、どうやら一人のようだ。

洞窟内に身を隠せそうな場所はない。
僕は二人をかばうようにして立ち、その人物が来るのを待った。


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