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忘却葬送曲
Fourth Movement 5

「これが俺の発明品、物質瞬間共鳴分解機だ。すごいだろー」

まるで子供が自分の作品を親に自慢するかのように、正志はそれを僕に指し示した。

「・・・ただのラジカセに見えるんだけど。これが一世一代の発明品なんですか?」

「見た目だけじゃこれの素晴らしさはわからないだろうな。少し実験をしよう。静香、実験台に出来る物をくれ」

「もう、中原さん。近江さんをこんなところに連れて来て・・・一回だけですよ」

正志の助手である彼女は、彼を叱りつけながらも渋々応じた。手渡された鉄くずの塊のような物を、彼は機械から少し離れた台の上に設置した。

「そこに置いた鉄くずに注目していろよ。・・・共鳴開始」

キンッ

微かに高い金属音がした後、台の上にあったはずの物は一瞬で塵となった。
驚きのあまり、僕は瞬きすることも忘れてそれを眺める。

「これは・・・確かにすごいかもしれません」

「だろー。この機械から流れる音に共鳴させることで、瞬間的にどんな物でも分解出来るんだ。まだこの機械の半径5m以内でなければ不可能だが、もっと研究すれば、より広範囲の物質を塵に出来るようになる」

台座の上に残った砂の山を、正志は両手で掬い取った。

「・・・これが君の言う、自分の望みを叶えるための機械?」

「ああ。透夜のために俺が出来る、ただの自己満足の・・・愛の形だ」

彼の両手の隙間からは、音もなく砂がこぼれ落ちた。


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