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忘却葬送曲
Fourth Movement 1

「行ってきます、近江さん」

「うん、行ってらっしゃい。気をつけてね」

お弁当を受け取った彼は、僕に元気良く挨拶して出ていった。
その眩しい朝日に照らされた背中を、僕は目を細めて追いかける。
早足で進んでいく彼の後ろ姿は、あっという間に遠ざかって見えなくなった。

二学期が始まり、透夜はY高校に通い始めた。
新しいクラスメート達とは上手くいっているようで、夕食ではいつも学校であった楽しい出来事を話してくれる。
それを聞くのが最近の僕の楽しみだった。

「さて、僕も出かける支度をしようか」

家の中へ戻った僕は、リビングにある戸棚へと近づき・・・彼がこの家に来て以来、ずっと奥に仕舞っていた写真立てを取り出した。
古ぼけてセピア色になってしまった写真に写る彼が、明るく笑いかける。

「・・・これから会いに行くね、正志」


忘却葬送曲〜Fourth Movement〜


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