忘却葬送曲
Second Movement 8
この地下図書館を潜伏先に決めたのは、以前からよく来て知っていたからだ。
この国の政府が隠してしまった、禁止書物。それが数え切れないほど存在するこの空間は、俺にとってはどこか親近感を感じさせる、とても居心地の良い場所だった。
俺という存在も、この無残に打ち捨てられた一冊の本なのだ。
この世界にとって不都合とされ、闇に葬られて消えていく、塵のようなもの。
地下奥深くに閉じ込められた彼らの必死の訴えは、明るい地上にいる人間たちには届かない。
日常という檻に閉じ込められた、俺の声もまた同様だ。声を上げることさえ許されない、窮屈な毎日。
ならもういっそ、喉が張り裂けてしまうまで、叫び続ければいい。この復讐劇の原動力は、俺がずっと溜め込んでいた心からの叫びだった。
―俺の家族や友人を奪った兵器は全部、粉々に砕けろ!・・・これ以上、もう悲劇を増やさないでくれ・・・!―
この数週間、俺は自分の心のままにやりたいことが出来た。例えその行為に意味がなかったとしても、それは関係ない。俺が、俺らしく在ることが重要だったのだ。
もう、ここまででいいかもしれない。
ほとんど睡眠も食事も摂っていなかった身体は、限界だった。
死んだと思っていた真琴も、生きていた。・・・このつまらない復讐劇を、終わらせてしまおう。
浴びせ続けられる激しい銃撃。俺はそれを防御していたシールドを解除するための入力をした。
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