忘却葬送曲
Second Movement 5
「俺の親父は、軍の人間だった。・・・唯一の家族であった俺を食わせて育てていくためだけに、毎日のようにきつい戦場で戦っていたんだ。もらった勲章とかは全部、押入れ深くに仕舞いこんで、自慢げに俺に見せたことは一度もなかった・・・そういう優しい人だった。
結局この世界から戦争がなくならないのは、そういうありふれた幸せを求める人間が在り続けるからだ。・・・この戦争や紛争だらけの世界は、俺や俺の親父のような、ごく普通の人間のエゴが生み出したものだ。そこに嫌いも好きもない」