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忘却葬送曲
Second Movement 2

「おーい、こちら第三課所属、永井だ、応答しろー。・・・駄目か、壊れちまった」

使い物にならなくなった無線を胸ポケットに仕舞いこんだ俺は、左右どちらを見ても、果てしなく本棚が並んでいる暗い通路を眺め、大きな溜め息をついた。
全く、面倒なことになったものだ・・・。


先日警察署を小一時間で全て塵に変えてしまった犯人は、その後も逃亡を続けていた。

中原透夜、W高校二年生・・・T島唯一の生き残り。
中原は大々的に指名手配され、警察官総出で行方を捜査されたが、彼はその間にもこの国の軍事的拠点を次々と的確に破壊していった。

犯人が警察署を出てから僅か数週間の内に、この極東帝国の軍事力は半減してしまったと一部の署員の間では噂されている。
そうだとしても、この国の膨大な予算がかかっている最新兵器はまだまだ有り余っていると思うが。


必死の捜索の結果、犯人が拠点としている場所が判明した。都心の地下深くに存在する政府禁止書物保管庫。通称、禁書の墓場。
政府が国民に読むことを禁止した書物を収めてある、巨大な地下図書館だ。
だが別に、利用者があるわけではない。禁止認定された本が降り積もっていくだけの、ゴミ捨て場のようなものだ。

分類も整理もなされず、更には棚に収めきれなかった本が床に無造作に積み重なっている、その埃っぽいジメジメとした空間は・・・図書館と言うにはあまりにも悲惨だ。


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